2023/02/24 第12回 冬の読書会報告

第12回冬のオンライン54ら読書会
2023.02.24

【参加者】
篠原泰司(一文)、村山豊(一文)、仁多玲子(商)、沖宏志(理工)、
石河久美子(一文)、露木肇子(法)、山口伸一(理工)、
鈴木伸治(商)、前田由紀(一文)、伊藤聡(法)、斎藤悟(商)、
宮田晶子(政経)(以上12 名、敬称略)

54 ら会のオンライン読書会、3ヶ月ごとの開催で12 回目を迎えました。
常連の皆様に加え、初参加の方がお二人。
今回は、歌集が初めて取り上げられたり、常連の皆様もいつもと少し傾向
の違った本を紹介されたりで、意外な発見のある面白い会となりました。
以下は当日、挙げていただいた本を発表者のお名前とともに紹介いたします。
推しの本について、それぞれ長いコメントをいただいており、
それをそのまま(文体は常体に統一しました)掲載しております
(順不同)。

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

1 篠原泰司さん(一文)
『彼は早稲田で死んだーー大学構内リンチ殺人事件の永遠』
樋田 毅(文藝春秋)
1972 年11 月8 日、早稲田大学文学部キャンパスで川口大三郎君(その
当時20 歳)が革マル派によって殺害された。そして、その直後から
革マル派に反対する一般学生の闘いが始まった。この本は川口君事件の
真相と、事件後の一般学生たちの闘いの軌跡をたどった本である。
文学部キャンパスの101 教室や181 教室(大教室)、そして教わったこと
のある教授が登場するなど、一文出身の私にとっては本の中の記述は
あまりにもリアルであった。在学中から今に至るまで、川口君事件につ
いては活動家の起こした事件だろうと思っていたが、事件に一般学生も
多く関わっていたことはただ驚きだった。
考えてみれば、その当時親しく話しをさせてもらった教授や先輩学生の
口からは川口君事件のことを聞いた記憶がまったくない。もちろん事件
への関わりあいの濃淡や距離感は様々であったろう。むしろ、関与など
は皆無の人がほとんどだったかもしれない。それでも、その当時キャン
パスにいた学生は、何らかのものを心に抱かざるをえなかったはずだ。
そして、それはなかなか言い表せることのできる性質のものではなかっ
たのだろう。この本を読み終えて、私の学生時代の腑に落ちなかった部
分が鮮明になったような気持ちになっている。
色々な意味で心に沁みる本だった。文学部出身者にはぜひ読んでいただ
きたい本だ。

2 村山豊さん(法)
① 『習近平独裁は欧米白人を本気で打ち倒す』 副島隆彦(ビジネス社)
② 『習近平独裁3 . 0 中国地獄が世界を襲う』 宮崎正弘(徳間書店)
中国の近未来に関して真っ向から対立する早大OB 二名の著作を紹介。
副島氏は法学部昭和52 年卒業。宮崎氏は教育学部昭和40 年入学、中退。
① 副島先輩 経済を犠牲にしても、民主化を後退させても、習近平は西
側先進国と闘う戦時体制を固めた。自国に大きな打撃が来ることも覚悟
した。米国一強体制は終焉する。中国は勝利し世界の覇権を握るだろう。
21世紀は少なくともアジアは中国の支配下に入る。日本はいつまで対
米追従を続けるのか。覚醒して中国につけ。
② 宮崎先輩 習近平皇帝の独裁体制確立により、外国勢の脱出は加速、
経済は衰退し、「中国の夢」などは悪夢で終わる。各国の嫌中意識は
高まり、第二次大戦前夜の様にロシアと中国はかつての日独の様に
世界から孤立する。一帯一路など幻想であり廃墟が延々と続く。
日本はいつまで中国幻想にとらわれるのか?覚醒して親中派を排除し、
英米印豪とともに中国を包囲せよ。
法学部で学んだ「学説の対立から本質へアプローチする」
「通説・判例と少数説・異端説のそれぞれの主張を認識整理すること
により、問題点を立体的に理解することができる」。
これは法学に限らず社会事象を把握する上でとても有益。

3 仁多玲子さん(商)
『足裏を鍛えれば死ぬまで歩ける』松尾タカシ(池田書店)
著者の松尾タカシ氏で、ヒップアップ・アーティストで、もともと、
おしりを鍛える方が専門だったのが、おしりの持つ「歩く力」を最
大限に地面に伝えるためには、足裏の機能も必要と考え、この本を
書いたとのこと。いま、私は足が悪く、この本をみて、家の中でで
きるトレーニングを実践しようと考えている。手軽に家の中ででき
る運動がいくつか紹介されている。
*皆さんも、もし本屋さんでこの本を見かけることがあれば、ぜひ
軽く目をとおしてください。面白い本です。

4 沖 宏志(理工)
『定年オヤジ改造計画』垣谷美雨(祥伝社)
定年オヤジのバイブルのような本。
日々の生活の中で「お茶を出すのはお前の方だ!」と自らのふるまい
を戒めねば。
「配偶者は上司と思え」と肝にめいじるとともに、
「一緒に旅行につきあってくれる。」などは、とんでもない天恵と感謝せねば。
また自治体図書館の読書会・読書アプリ・ビブリオバトル等の読書
活動について紹介した。
e.x. 読書メーター https://bookmeter.com/users/1376733

5 石河久美子さん(一文)
『滑走路』萩原慎一郎(角川文庫)
歌集としては、異例のベストセラー。「きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい」は
代表的な歌の1つ。著者は早稲田の卒業生でもある。数々の受賞を重ね、期待されながらも夭折。非正
3
規雇用の日々、心の葛藤、恋や憧れ、未来への不安や希望などが295首に綴られている。学生時代の
記憶や感情を呼び起こさせられるものも多く、心に響く歌が沢山あった。
6 露木肇子さん(法)
『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』山内マリコ(マガジンハウス)
ユーミンは、1954年1月八王子で生まれ、中学から立教女学院に通学し、多摩美大入学後の73
年11月にファーストアルバム「ひこうき雲」を出した。この本は、この約20年間を、取材と資料に
基づいて綴った小説である。
私はユーミンから3年遅れて、同じ中高に通った。またユーミンの実家の荒井呉服店は、現在の私の
生活圏にある。都心から離れたこの土地で育ち、聖歌を歌う学校で学んだユーミンが、なぜ多彩な歌を
次々と生み出すことになったのか、この小説を読むとわかる。
特にユーミンが、学校では優等生を演じながら、夜な夜な家の外付けのらせん階段を使って抜け出し、
グループサウンズを追っかけていた話は面白い!
読後は、「春よ来い」を口ずさむと浅川の雄大な自然が目に浮かび、「卒業写真」を聞くと、パイプオ
ルガンのある教会での卒業式を思い出すようになった。
7 山口伸一さん(理工)
『われら闇より天を見る』クリス・ウィタカー著、 鈴木 恵訳(早川書房)
父親が違う13 歳の少女ダッチェス・デイ・ラドリーと6 歳の弟ロビンの姉弟。
30 年前の不幸な事件により飲んだくれの母親や学校でのイジメや蔑視に耐え、自らを無法者と自覚し、
独力で苦境を解決しようとする物語。祖父や警察署長ウォーク など温かな手を差し伸べられて……。第
一級の作品。
ゴールドダガー賞受賞、週刊文春ミステリーベスト2022 年海外部門第1 位など、受賞多数。
8 鈴木伸治さん(商)
『黒石(ヘイシ) 新宿鮫Ⅻ』大沢在昌(光文社)
この本は、新宿鮫Ⅻ とあるように、新宿鮫シリーズの12 作目で昨年11 月に出版され、書店で見かけ
たことから早速購入して読み終えたもの。新作が出るたびに読んでおり、今回も期待を裏切らないもの
だった。1作目の「新宿鮫」が1991 年だから、約30 年にわたって続いているシリーズ。
著者の大沢在昌は、1994 年の「無間人形(むげんにんぎょう) 新宿鮫Ⅳ」で直木賞を受けている。
主人公は、たった一人で犯罪者に食らいつくことから、「新宿鮫(しんじゅくざめ)」と呼ばれる新宿
署の鮫島警部。元キャリアでありながら警察内部の抗争にまきこまれ、単独捜査を余儀なくされた孤高
の刑事の闘いが描かれている。
その時々の時代を反映した犯罪が描かれており、今回は狛江市の強盗殺人事件のように、犯罪グルー
プが相互に仲間を知らない、またそのようなことから一般人が仲間になっているというものである。
『ネット興亡記 ①開拓者たち』杉本貴司(日経ビジネス人文庫)
『ネット興亡記 ②敗れざる者たち』杉本貴司(日経ビジネス人文庫)
4
私的な金融商品取引法の勉強会で、ライブドアの風説の流布・偽計や粉飾決算を取り上げることから
紹介されて読み始めた本だが、日本におけるインターネットの幕開けから勃興した著名なIT 企業の盛衰
が生々しく描かれており、大変興味深く読んでいるところ。
特に東証の上場審査においてソフトバンクやNTT ドコモなどの上場に関わったことから、ソフトバンク
がなぜコンピュータ見本市の会社ジフ・デービスを保有していたのか、NTT ドコモがどうやってi モード
という画期的なサービスを生み出すことができたのか、といった当時の疑問を解くことができた。
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』マックス・ヴェーバー著 大塚久雄訳(岩波
文庫)
前回ご紹介した「社会思想史の歴史」を読んで、世評に高くいつかは読んでみたいと思っていたこの
本を読み始めたことからご紹介したい。
率直に言ってまったく面白くない。論文なの致し方ないのですが、本文が難解な上に本文以上に注が
続く。ただ、本の内容ではないが、注に記載されているヨーロッパにおけるキリスト教に関する膨大で
多面的な論文や調査の蓄積に圧倒されるとともに、「社会思想史の歴史」やこれまでヨーロッパの本から
受けていたヨーロッパにおけるキリスト教の圧倒的な影響を再認識した。
9 前田由紀さん(一文)
『逆ソクラテス』伊坂幸太郎(集英社)
主人公は、小学6 年生。だが頗る賢い。大人の否定的な先入観、決めつけを打破するために取った作
戦に唸らされる。同調圧力に効く言葉は、「僕は、そうは思わない。」この一言で、状況はガラッと変わ
る。闊達な議論をする場ができる。また教育期待効果。小学生の頃、「君には、才能がある」と「全然素
質がない」と言われた場合との差は、その後とてつもなく大きいような気がする。小さな芽吹きを大事
に周りの大人たちは、育てたい。
『明日の国』パム・ムニョス・ライアン(静山社)
著者は、メキシコ系アメリカ人。架空の国の村のお話。祖父と父親と暮らし、サッカー選手を夢見る
少年は、幼い頃母親がどこかへいなくなってしまう。またその国には、昔から他から戦争や人権侵害か
ら逃れてきた人たちを密かに安全な場所へ案内する守り人伝説があった。その守り人の役割を突然果た
すことになる少年は、母親の失踪の謎にも辿り着くことになる。現代でも多くの難民の人たちが存在し、
なんとかその窮地を助けようと奔走する人たちもいる。黒人奴隷を助ける地下鉄道運動を思い出す。今、
自分にできることは何か。
『有吉佐和子の本棚』有吉佐和子(河出書房新社)
昭和を代表する作家だが、人種差別の問題が広まった昨今著書『非色』が復刊され、時代を先取りし
て社会問題に鋭く警鐘を鳴らし、今なお色褪せない彼女の作品群が改めて注目されている。戦前小学生
時代に外地南方で過ごし文豪の全集を読破し、高校では夏休み研究に100 冊の本を読んで読後随筆を書
くなど若き日の読書体験が興味深い。彼女の好奇心は、いつも尽きることがなかった。『恍惚の人』も最
近再読したが、親の介護をしている身に響いた。
5
10 宮田晶子(政経)
『起業の天才』大西康之(東洋経済新報社)
リクルート創業者、江副浩正の伝記。
リクルート事件で社会の表舞台からは去り、創業者でありながらリクルートの社史にも登場しないと
いう江副氏の起業家としての凄さをその生い立ちから追った評伝。その先進性、合理性、そしてある種
のとんでもなさに驚かされる。著者は、情報を産業とし、Google やアマゾンに匹敵するような事業を構
想していたこの稀代の起業家を社会が葬り去ってしまったことについて問うている。3 月に映画Winny が
公開されたが共通する問題意識を感じた。
本の紹介はされませんでしたが、ご参加下さった方から次のような感想をいただいています。
伊藤聡さん(法学部)
皆様、ありがとうございました。とてもいい時間でした。
驚いたのは本もさることながら、皆さんの言語化能力(プレゼンテーション能力)のレベルが非常に高
かったことです。興味のない分野でも読もうかなぁ~という気になります。
6
次回 第13 回 54 らオンライン読書会
5 月2 6 日(金)1 9:3 0 より/ホスト 前田由紀さん(一文)
※11 月、2 月、5 月、8 月の第4金曜日に開催しています。

2023/02/04 ボウリングの集い開催報告

2月4日(土)15時より、ビッグボックス8Fの
高田馬場グランドボウルにて久し振りにボウリングの集いが
実施されました。コロナの影響もあり、積極的なお誘いも
しませんでしたが、5名のメンバーが集まりました。
(今野・堀池・遠藤・藤原・岡野の女子2名、男子3名)
結果は、連覇を目指した今野さんがハンデを活かし、堅実に
マークを重ねリードしていきましたが、流石の師匠藤原さんが
2ゲーム目にターキーで追い上げ逆転優勝を飾りました。
前回の雪辱を期した遠藤、岡野の両名はスプリットや
イージーミスを繰り返しまたも惨敗に終わりました。

優勝者のコメント
2ゲーム目の途中まで低迷していたので、終わってから
優勝と聞いて大変驚いています。皆さんと好プレイ・
珍プレイに一喜一憂して、飲み会も含めて楽しい
時間を過ごせました。

岡野 勝 記

2023/01/28 新春初打ちゴルフ会報告

新春2023年1月28日(土)、中山カントリークラブにおいて、
恒例となりました「54ら会ゴルフを楽しもう会 新春初打ちコンペ」
が開催されました。
3日前から、10年に一度の大寒波に日本列島全域が見舞われ、また、
前日の夜には暖かい千葉にも降雪があり、開催をとても心配していました。
いざ当日、やはり千葉、雪も残っておらず、メンバーの日頃の行いのお陰で最高の天気に恵まれました。
参加者は20名(男18、女2)と、かなり膨れ上がってきました。嬉しいかぎりです。
前期高齢者ですが、若さ溢れるプレーの連続で、楽しい一日となりました。
天気だけでなくパートナーにも恵まれたお陰で、全員事故無く、怪我無く、和気あいあいと滞りなくホールアウトできました。
ゴルフの後は、新年会を兼ねた反省会です。
地元の遠藤辰也さん御用達の美味しいお店を貸し切りにしてもらって、贅沢な時間を過ごすことができました。
ラグビー、駅伝での後輩たちの活躍や本コンペの珍プレー好プレーの話題は尽きず、あっという間にお開きの時間となりました。
名残惜しいのですが、早寝早起きの習慣が身に付いている賢明な54らは、明日に備え、二次会に行くことなく解散しました。
皆、乗り越しなどしないで自宅にたどり着いたことでしょう。

文責 益田 聡(理工)

参加者(敬称略)
岸田守、早川一秀、藤岡敬之、森元晴一、小山田薫、中村敏昭、
平野伸一、横田敬介、石川由美、片桐孝宏、系野力、首藤典子、
橋本裕幸、堀尾正明、吉原隆彦、遠藤辰也、篠崎行良、益田聡、
石川昌義、稲葉浩久、番平均

2023/1/14 早稲田駅伝参加報告

早稲田駅伝 
種目 Over35 男女混合 54ラン会から2チーム 参加しました。
3年振りにあの国立競技場で、トラックと外周を走る 
1周1,4キロ16周の駅伝です。
前日まで東京は、24日間雨が降らず乾燥しきっている中、
当日はスタート直前12:20頃より小雨が降る天候でした。
これは両チームの第一走者2人が稀に見る雨男のせいだと、
皆んなでが口々にしておりました。そして何と6周目頃から小雨が上がったのです。
何たる驚きの雨男😳なのでしょう👏👏👏

出走者
チーム スーパー
 日比野、木田、岡野、田角、中村、種村
 西村(女性81年卒)
チーム プレミアム
 遠藤、荻野、系野、大橋、宮田(女性),
 前田(育子夫77卒),太宰(番平後輩)
 

結果
 スーパー  1:59:03   92チーム中 75位
       over50   42チーム中  37位
 プレミアム 2:01:51 92チーム中   82位
       over50   42チーム中    40位
以上の結果でありましたが、
全世界のアスリートがオリンピックで鎬を削ったトラックを走れ🏃🏃‍♀️、
襷を繋げた事に満足しておりました。

グランドフィナーレ終了後恒例であります、
東新宿にある銭湯♨️東宝湯で冷えた身体を温め、
打ち上げ会場 かっぽうや鷹 に向かいました。
かっぽうや鷹は、岡野さんの中学の同級生が経営する居酒屋で
冬は美味しい ふぐの肝 ふぐちり あんこう鍋 が堪能出来、
ひれ酒も美味しいです。
本来なら、多少の駅伝の反省を口にするのですが、
まったく話題すら出ず食べる事、呑む事に専念したので
17:00から始まった打ち上げが
最後の〆 白子鍋、あんこう鍋の雑炊や& ラーメンを
完食した時には21:30を過ぎていました。
是非皆さん、ランチもやっているようですので近くに行かれた際は
是非美味しい料理に舌鼓を打って下さいね🙏
 

最後に5/4(祝) 春日部大凧マラソンに参戦する事を誓い合い解散しました。
 

2月より54ラン会 練習会を再開させます
2/25 皇居ラン 神田駅西口改札口前 13:30集合
ラフィネランニングスタイル神田店を利用します。
奮って参加下さいね。 

担当:遠藤弘文(社学)

2022/11/25 第11回秋の読書会報告

今回は、混迷を極める世相を反映して、主に全体主義や社会思想、
安全保障の自衛大学校、ウクライナの歴史を振り返る社会科学系本
が紹介された。他には、独学のススメ、アメリカの人気作品、沖縄
レシピ本、芸術品のような絵本、時代小説と多彩な本について語ら
れた。通常より少ない人数となったが、全員の参加者にゆったり
お話していただける読書会となった。

参加者の皆さんは、ご覧の通りです。(発表順)

沖宏志さん、篠原泰司さん、仁多玲子さん、鈴木伸治さん、高平潔さん、
露木筆子さん、宮田晶子さん、前田由紀 (8名)

全体主義の受け入れてしまう大衆(沖)
⇒独学のススメ・自然描写の美しいアメリカベストセラー(篠原)
⇒沖縄料理の醍醐味(仁多)
⇒社会思想の歴史を振り返る(鈴木)
⇒初参加今回は視聴のみ。ラグビー部出身(高平)
⇒絵本の色彩の素晴らしさ(露木)
⇒国の安全保障を担うエリートたちの防衛大学校(宮田)
⇒ウクライナ侵攻から露呈する様々な問題提起と高3生による京都文学賞受賞作品である瑞々しい時代小説(前田)

次回 第12 回 54 ら読書会
2023年 2 月24日(金)1 9:3 0 より/ホスト 宮田晶子さん(政経)
※11 月、2 月、5 月、8 月の第4金曜日に開催しています。

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

1.沖 宏志(理工)

『悪と全体主義』 仲正昌樹 (NHK出版新書)

主にナチスを題材として、全体主義がどのように育ち、どのように災いを人類にもたらしたかのハンナ・アーレントの主張を解説した本である。全体主義を受入れてしまう悪い意味での「大衆」を問題としている。最近、一連のトランプ本やプーチン本を読んでいて、全体主義は今、目の前のある脅威で他人事ではないと感じる今日この頃である。
 悪い意味での「大衆」を説得するのは言わずもがな、自分自身が全体主義の手法にたぶらかされないのですら、おそらく思っている以上にずっと難しい。なんせ、こんな本を書いている人が統一教会に入っていたわけだから。

2.篠原 泰司(一文)

『独学の教室』読書猿、吉田武、ウスビ・サコ他、インターナショナル新書107、集英社

 独学(独りで学ぶこと)の魅力、意義、そしてその方法を探った本。英語、美術、読書、ノート術、漫画、数学、物理学はては冒険まで、14人の独学者による多彩なジャンルに関する寄稿がまとめられている。それぞれの寄稿が15~18ページと短く、通勤電車の中で一つの寄稿を読み終えることも可能。興味のあるジャンルや気になる寄稿者の文章から読んでみれば、これからの人生を豊かにしてくれることは間違いのないことだと思う。

『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ、友廣純訳、早川書房

 この読書会でも、すでに何名かの人が推薦していた「ザリガニの鳴くところ」だが、私自身興味を持ち本(原書も)も購入していたが、2年間読まずに積んでおく状態にしていた。ところが、2022年11月18日に映画が公開されるという情報を得て急遽読み始め、映画公開の日時に合わせて読み終えた次第だ。

 11月24日には映画を鑑賞してきた。予想していたことだが、原作の内容を2時間の上映時間の枠に収めることには無理があり、内容的には物足りなさや消化不良の感は否めなかった。できれば一話が1時間の枠で10話ぐらいのテレビドラマシリーズにしてほしかった。それでも、さすがに映画であって、自然や人物の描写には大画面の映画ならではの深さや美しさを感じた。この「ザリガニの鳴くところ」という小説の本当の面白さを知るには、やはり小説を読むべきである。

3.仁多 玲子(商)

『NHK連続テレビ小説 ちむどんどんレシピブック』オカズデザイン、NHK出版

今回、私は、NHKの朝ドラだった「ちむどんどん」のドラマの中で使われた沖縄料理の作り方を教えた本を皆さんに紹介した。ネットで見つけて、面白そうなので、1冊購入した。

有名な、ゴーヤチャンプルーはもちろんのこと、ラフテー、ゆし豆腐、にんじんしりしりー等、沖縄料理は、本当にヘルシーで、作り方も簡単。とりあえず、私は、ゴーヤを買ってきて、ゴーヤチャンプルーを作り、とても、美味しかったです。

皆さんも、沖縄料理にご興味のある方は、ぜひ一冊買って、ご家族に食べさせてください。

4.鈴木 伸治(商)

『社会思想の歴史 マキアヴェリからロールズまで』坂本達哉、名古屋大学出版会

 ソ連の崩壊からロシアのウクライナ侵攻、中国の社会主義市場経済の進展から米中対立、米国の経済成長の中でのトランプ旋風から国内の分断、EU拡大の一方でのブレグジットなど、最近の世界は、これまでになく政治や経済に不安定な状況が生まれつつある。

 その背景を知る上での一助となる本がないかと探した結果、見つけて現在読んでいる本が今回ご紹介する本。本書は、ルネサンス、宗教改革からソ連・東欧の社会主義体制の崩壊まで、西欧近代500年間の社会思想の歩みが概観されている。そして、現代人の課題でもある議会制民主主義と資本主義を基盤とする社会における諸問題と取り組んだ歴史が描かれている。

 5.高平 潔(法)視聴

 本日は、初参加受入頂き有難うございました。本日は、視聴のみの参加となりましたが、大変な刺激となりました。皆様の興味の広さと博識の深さに触発されました。学生時代(ラグビー部在籍)に、ボールを蹴ったのと同じ位頭を蹴られているので正常な作動に自信がありませんが、皆様と読書を通した認識交換出来ればサンデー毎日となった私には最高の機会です。今後とも宜しくお願い申し上げます。

6.露木 筆子(法)

絵本『スイッチョねこ』文/大佛次郎 絵/朝倉摂 青幻社

絵本を収集して45年になる。集める基準は色の美しさである。その中で最近感動したのがこの絵本だ。朝倉さんは日本画家・舞台芸術家で1922年生まれ。今年は生誕100年なので、70年代発行されたこの絵本が復刊されたようだ。子猫の愛らしい童話は、鮮やかな色の魔力で、幻想物語に変わっていて、読む人を圧倒する。

絵本『カッコウが鳴く日』『わたしの好きな場所』『秋は林をぬけて』小泉るみ子作・絵 ポプラ社

 作者は1950年北海道生まれ、早稲田の文学部を卒業してから絵本作家としてデビューした。たくさんの絵本を出しているが、紹介するのは、北海道の四季を、厳しさを込めた深味のある色彩で見事に表現した、画集のような絵本だ。その他民話を題材にした絵本も魅力的だ。

7.宮田 晶子(政経)

『防衛大学校—知られざる学び舎の実像』國分良成(第9代防衛大学校長)、中央公論新社


世界情勢が不安定な中、防衛費増額が検討され、自衛隊への注目も高まっている昨今、自衛隊幹部を養成する防衛大学校に興味を持った。朝6時にラッパで起床、勉学に加えて訓練に勤しみ、外出もなかなか自由にできないという防衛大学校生の生活は、現代の若者のそれとはかけ離れている。ここに入学し、将来の自衛官を目指す方達(並びに送り出す親御さんも)の覚悟は大変なものだと思った。学校の歴史などの記述も興味深かった。

8.前田 由紀(一文)

『中学生から知りたいウクライナのこと』小山哲・藤原辰史、ミシマ社

京都大学のポーランド史と食と農の現代史が専門の歴史学者が、「中学生に立ち返って、大人の認識を鍛え直す」という意味を込めて執筆した書。歴史が繰り返されるのは、忘却にあり、歴史学者の資格は、「忘れない執念」であるという。ウクライナ侵攻による、①国際法違反での国連の限界、②ロシアの人々や文化の排除、差別の危険性、③NATOとロシアの善悪二元論の危うさ、④大国によって分裂と統合を繰り返してきたウクライナの歴史、⑤情報戦の国際報道の偏り、⑥日本の中立のあり方など多くのことを考える機会となった。

『ちとせ』高野知宙、祥伝社

 京都文学賞受賞作品。高3生による時代小説。時は、明治初期。幕末から変わりゆく京都を背景に、病により徐々に視力を失っていく孤高の少女が三味線を必死に修行し、周りの温かい人たちに支えられ成長していく青春小説。車屋の御曹司との淡い恋模様も切なく、瑞々しい。将来の不安、失望を抱える思春期から凛として自立して「闇に浮かぶ浄土」への境地に立つ過程の描写が同年代でもある著者と時代を超えてリンクして実にリアルである。

 

2022/11/5〜6 ゴルフを楽しもう会秋合宿報告

平成25年から開催しており今回7回目の
「54ら会ゴルフを楽しもう会秋合宿」を
恒例の『きぬがわ高原カントリークラブ』で
11月5日から6日1泊2日2プレーで実施しました。
今回は新型コロナウイルス第7波が落ち着き、全国旅行支援が実施され、
特急券が売り切れるなど多くの観光客が出かける中での開催でした。
大切な仲間への感染リスクを避けるため、
抗原検査やPCR検査で陰性を確認した上での参加です。

当初23名の申込みがありましたが、3名のドタキャンあり。
秋田県や兵庫県から来られた方もおり初参加7名を含めて過去最多20名で6組プレー。

電車組16名はゴルフ場への日塩もみじライン途中にある白滝でクラブバスを停めてもらい、紅葉真っ盛りをバックに記念撮影。

車で来る予定の岡野さんの車が日光-宇都宮道路でバーストしてしまい、レンタカーでの到着(事故がなく良かった)。遠藤弘文さんとの2ツーサムプレーで1時間遅れも明るいうちに無事に18ホールを回って来られました。

参加者の日頃の行いの良さが効してか、雲一つない晴天のもとで2日間ゴルフを享受しました。ゴルフ場でも紅葉、そして夜は満点の星空を満喫しました。

12人用ロッジを2棟独占し、栃木和牛のすき焼き・しゃぶしゃぶ、、塩ちゃんこ。残念ながら今回不参加の栄養士 石川由美さん直伝のカレー雑炊でお腹パンパン。アルコールも進み、久しぶりの対面で仲間との時間共有は捨て得難い幸せです。

帰路は鬼怒川温泉駅でSL大樹が見られ、下今市駅からは「東武スページア」コンパートメント3室で究極のプチ贅沢。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。来年の秋合宿を約して浅草駅で解散の秋合宿でした。

次回は恒例の1月で、1月28日(土)名門中山カントリークラブでの集いです。

(中村敏昭 記)

【参加者】石川昌義、遠藤弘文、岡野勝、大和田秀二、片桐孝宏、
北島正一、系野力、櫻井直子、篠崎行良、首藤典子、寺内千賀子
中村敏昭、早川一秀、平野伸一、藤岡敬之、堀尾正明、前田佳子
益田聡、森元晴一、横田敬介

              *:秋合宿初参加メンバー

写真集

2022/11/3 コーラスの集い参加報告

11月3日、新宿文化センターにて
新宿区生涯学習フェスティバル「音楽・コーラスの集い」
が開催され、TKB54シンガーズ有志が「TKB54フレンズ」として参加しました。

なかなかリアル練習がしづらかったこの1年でしたが、
有志でのほぼ月1回の練習を重ねて、1年間の成果を発表することができました。
感染防止からいろいろ制限がつきましたが、
開催が実現し、ステージで気持ちよく歌うことができて、
うれしかったです。

写真アルバムはこちら

ステージの動画はこちら

2022/10/23 稲門祭報告

久しぶりの稲門祭は、好天に恵まれ、54ら亭も盛況。

54ら亭では、
54らどら焼きやTシャツ・ポロシャツなどの54らグッズ販売を行いました。
また、ラグビー部OB会と協力してラグビー部応援コーナーを設けて
ラグビー部の記念グッズ販売を行いました。

稲門祭としては以前より少ない出店でしたが、
同時開催のホームカミングデー式典が分割開催だったためか
人の流れが途絶えず、54ら亭は盛況。
どら焼きは昼頃には完売となりました。

来てくださった方、ご購入くださったかた、
ありがとうございます。

来年は我々1979年卒業は、
ホームカミングデー(HCD)招待年となります。
また、大学で会いましょう。


 

2022/8/26 第10回読書会報告

第1 0 回 夏のオンライン5 4 ら読書会
2 0 2 2 . 0 8 . 2 6
【参加者】
篠原泰司(一文)、首藤典子(一文)、斎藤 悟(商)、鈴木伸治(商)、露木肇子(法)、中村敏昭(理工)、
仁多玲子(商)、日比野悦久(理工)、福島 碧(社学)、前田由紀(一文)、宮田晶子(政経)
(以上11 名、一部参加の方も含む)
54 ら会のオンライン読書会、回を重ねて10 回目を迎えました。
常連の皆様に加え、初参加の方が3人いらっしゃいました。
今回は、本の紹介自体は少なめでしたが、イチエフ(福島第一原子力発電所)の視察に絡めた本の紹介
などもあって、いつもと少し違った趣の会となりました。
以下は当日、挙げていただいた本を発表者のお名前とともに紹介いたします。推しの本について、それ
ぞれ長いコメントをいただいており、それをそのまま(文体は常体に統一しました)掲載しております

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。


(順不同)。
1 中村敏昭さん(理工)
2022 年1 月21 日に、イチエフ(福島第一原子力発電所)を視察する機会を得た。この視察をめぐって
出会った3 冊の映画と1本の映画を紹介する。
『F u k u s h i m a 5 0』
2021 年3 月6 日に公開された、福島第一原子力発電所事故発生時に発電所に留まって事故対応業務に従
事した約50 名の作業員(通称「フクシマ50」)の闘いを描いた映画。主演は渡辺謙、佐藤浩市、監督は
若松節朗。視察の準備として震災から10 年後の3 月11 日に『Fukushima 50』を鑑賞していた。
『廃炉:「敗北の現場」で働く誇り』 稲泉 連(新潮社)
イチエフの案内役は、経産省資源エネルギー庁で廃炉汚染水対策を担う木野正登さん(木野さんとは会
社のOB であるM 氏との縁で知り合った)。昭和54 年生まれで第二文学部卒業の飯泉連氏は、この本の
第1章には「福島に留まり続けるある官僚の決意」として木野さんとの出会いやエピソードを記してい
る。人事異動希望書には「一生、福島においてください」と書き、国側の広報的立場として、行政が開
催する地元への説明役を引き受け、企業原発事故に関心を持つ人を対象に、原発構内や被災地を巡る活
動をしている。「霞が関から絶対に見えないもの」をたくさん見ている人。
『福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねかよ』カンニング竹山(ベストセラーズ)
M 氏は福島に本店を置くS 工業に出向したのだが、新幹線の駅で手にした同書に紹介されている「あね
さの小法師」という飲み屋の常連となり、そこで木野氏と知り合ったのだそう。カンニング竹山氏は東
日本大震災以降、プライベートで何度も福島に入り、たくさんの被災者とも話を交わしてきた。本書は
彼の目を通した率直な福島について綴っている。視察後「あねさの小法師」に行ったら、なんと福島テ
2
レビのロケで当のカンニング竹山氏が来店。幹事長の名刺を渡し、54 ら会の活動紹介もしておいた。
『緊縛』小川内初枝(筑摩書房)
何ともすごいタイトルだが、2002 年の太宰治賞受賞作。M 氏より、この小説のモデルが会社の元社員O
氏(一時PJ で私の下につく)であることを知り、図書館から借りて読む。彼の性癖を垣間見た。
*本の紹介もさることながら、イチエフ視察の様子も詳細にお話しいただき、興味深かったです。
2 篠原泰司さん(一文)
『美は乱調にあり—伊藤野枝と大杉栄』 瀬戸内寂聴(岩波現代文庫)
瀬戸内寂聴43歳から57歳の間に書かれた作品で、アナーキスト大杉栄と「青踏」の編集者伊東野枝
を中心に描かれた群像劇的伝記小説。大杉栄が四角関係の末に神近市子に刺される(日陰茶屋事件)ま
でが「美は乱調にあり」。そして、憲兵大尉の甘粕正彦によって大杉栄、伊藤野枝とその甥橘宗一が虐
殺される(甘粕事件)までが「諧調は偽りなり」。「美は乱調にあり」と「諧調は偽りなり」の間には実
に14年のブランクがある。
97歳の2017年に刊行された文庫版のまえがきに「自分の作品の中で若い人にもっとも読んでもら
いたい作品だ」と寂聴は書き、また、その最後に「この小説を書いて、「青春は恋と革命だ」という考
えが私の内にしっかりと根を下した。」と書いた。
結末に近づくにつれ後日談が知りたくなり、読み終えるのが惜しくなる小説だった。
3 露木肇子さん(法)
『紙の動物園』ケン・リュウ(ハヤカワ文庫)
中国出身でアメリカで活躍するSF作家の短編集である。どの短編も読み応えがあるが、特に書名とな
った「紙の動物園」は感動せずにはいられない。
アメリカ人と結婚した中国人の母親は私達と同世代の1957年生まれ。息子に折り紙で動物を折り、
息を吹き込むと動物は動き出す・・・・・。
短い展開の中で登場人物の思いが胸に刺さり、あまりの切なさで苦しくなる。
SFの世界的な賞3冠に輝く傑作である。
『円』劉 慈欣(早川書房)
これも中国のSF作家の短編集である。
その中の「栄光と夢」を是非読んでほしい。
アメリカとシーア共和国は戦争中で、シーアは経済制裁を受けて国民は飢えで苦しんでいる。そんな中
戦争に決着をつけるため、北京オリンピックを変更し、アメリカとシーアの2ケ国だけのオリンピック
として、勝った方を戦勝国とすることになった。負けても金メダルの数の分恩恵が与えられる。飢えで

ともに練習もできなかったマラソン選手の少女シニは、アメリカの最強女性ランナーに戦いを挑
む・・・・・。
3
他にも奇想天外かつ風刺的な短編がつまった才気あふれる一冊である。
4 首藤典子さん(一文)
『長い道』柏原兵三(小学館)
1968 年、『徳山道助の帰郷』で第58 回芥川賞受賞、著者の祖父日中戦争時代の陸軍中将伊東政喜がモデ
ルになっており、その伊東中将の妹の嫁ぎ先が首藤であるという縁繋がりの作家。『長い道』は後に『少
年時代』の作品名で藤子不二雄A氏により漫画化、山田太一氏脚本で映画化されている。内容としては、
主人公の少年が戦禍を逃れ疎開先で、地元の少年達の輪に入ることが出来ず、悩みもがく日々。唯一の
味方と思っていた地元のリーダー格の少年が実は首謀者であったが、この悩める日々との決別は、終戦
と共に東京へ戻ることによって訪れたところで終っている。小学校高学年の主人公が同じ通学路で登校
する少年達の輪に入れず涙する様子、また疎開先の祖母の家での暮らしや学校の様子、東京に残った家
族から送られてくる本、甘菓子、絵具を家に訪ねてくる少年に与えたりして何とかつながろうとする少
年の姿がいじらしく描かれている。
『小説8 0 5 0』林真理子(新潮社)
引きこもり100 万人の時代、避けては通れない事象の為読んでみたかった作品。引きこもってしまった
らもう誰とも話をしようとはしないが、なんとかその原因を知らなければ解決の糸口がつかめない。
色々と相談したり、実際に行動を起こしたりするのは引きこもった人間ではなく親であると示唆されて
いる気がする。「8050」では父親が引きこもりの原因を、当時の息子の友人に会っていじめがあったこ
とを聞き出し、母親は旧友に相談していたことから、この件で訴訟を請け負ってくれる弁護士を紹介し
てもらう。この弁護士との出会いが運をもたらすが、過去の息子の友人が実際にここまで協力してくれ
るかは難しいのでは。
5 鈴木伸治さん(商)
『ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級』新井潤美(白水社)
イギリスの小説を読んだり、映画やTV ドラマを観たりしていると、爵位のある貴族や「ジェントリ」
と呼ばれる地主を含む上流階級の人物が登場して独特の存在として描かれているが、その独自性の背景
を理解することは難しいものである。
日経新聞の書評欄で、この本を「彼らは実際、その社会・文化の中でどのように形づくられ、語られて
きただろう。私たちが抱く華やかなイメージのどこまでが真実だろう。そんな疑問が氷解する一冊であ
る」と紹介していたことから読んだのだが、この本はそのような本。
『アメリカの病 パンデミックが暴く自由と連帯の危機』ティモシー・スナイダー/池田年穂
訳(慶應義塾出版会)
前記の書評欄の同一紙面に、「世界一の超大国アメリカで、コロナウイルスの犠牲者が最も多いのはな
ぜか。医療ミスにより、生死の淵を彷徨う中で、コロナ禍に遭遇した著者による病床からの緊急レポー
ト!」から興味を持って読んだ本。
アメリカの医療システムや公衆衛生の脆弱さ、人権問題、そして「自由」の真の意味での復活と個人の
4
健康とのかかわり、孤独と連帯の相補についての考察を深め、トランプを頂点とするアメリカの権威主
義体制や医療の世界にも及んでいる経済寡占についての批判を展開している。
個人的には若い頃に読んで強い印象が残っている『自由からの逃走』(エーリッヒ・フロム著/日高六
郎訳)に匹敵する本で、多くの方にも是非読んでいただきたい。
『決戦!株主総会 ドキュメント L I X I L 死闘の8カ月』秋葉大輔(文藝春秋)
日本の上場会社の中には、わずかばかりの株式しか保有していない創業家出身者などが圧倒的な力を握
り、自分の思うままに経営するケースが少なからずある。
このため、そのような創業家出身者などがわざわざ外から招いたプロの経営者を追い出すという事例は
散見され、これまではそのまま収まるのが普通だった。
この本では、追い出されたプロ経営者が泣き寝入りせずに戦いを挑み、勝つことはほとんど不可能とい
われる株主総会で勝利を収めたことが記録されている。
この事例をもとに、コーポレートガバナンス(企業統治)の良し悪しを判断することは全くできないが、
それが如何に難しいことであるかは窺い知ることができるのではないかと思う。
6 前田由紀さん(一文)
『教え学ぶ技術――問いをいかに編集するか』苅谷剛彦/石澤麻子(ちくま新書)
「高校の論文指導に携わっているが、生徒が自分の問いに辿り着くまでが一番難しい。自分にとって切
実な問題とは何か。この本は、オックスフォード大学でのチュートリアルという論文の個別指導につい
て解説している。What do you study?の意味でWhat do you read?と問うオックスフォードの教育。
常日頃から何か引っかかることを、すぐにメモ帳に書き留めておくと、日常が面白くなる気がしてきた。
7 宮田晶子(政経)
『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史(光文社新書)
映画や映像を早送りで観る人たちが増えているという。ネットには、ファスト映画やネタバレサイトが
溢れ、少なくとも粗筋や内容は簡単に掴める時代だ。しかし、それで作品を味わうことになるのだろう
か?こうした疑問から出発した本書は、現代社会が抱える問題にまで踏み込む。S N S の発達による同
調圧力(みんなの話題にはとにかくついていかねばならない)、個性がもて囃される故に細かいことま
で取り敢えず知っておきたい、また回り道と失敗をとにかく避けたい、という気持ち。これらが(特に
若い人たちを)倍速視聴に駆り立てている。便利になったけど、余裕がない世の中になっているのを実
感(これは日本の国力とも関係あり?)映画や映像はもはや鑑賞されるものではなく、消費されるもの
のようだ。
5
次回 第11 回 54 らオンライン読書会
1 1 月2 5 日(金)1 9:3 0 より/ホスト 前田由紀さん(一文)
※11 月、2 月、5 月、8 月の第4金曜日に開催しています。

2022/5/27 第9回オンライン読書会報告

第9回 春の54ら読書会報告 
2022年5月27日

今回も参加者の皆さんの読書への情熱をひしひしと感じるひとときとなりました。
参加者の皆さんは、ご覧の通りです。(発表順)

村山さん、仁多さん、沖さん、篠原さん、福島さん、
山口伸一さん、露木さん、鈴木伸治さん、
益田あけみさん(視聴)、宮田さん、前田 11名

世界の視点による明治維新(村山)⇒養生訓・スパイス(仁多)⇒極上スパイス(宮田)⇒イェール大学の死生観講義(沖)⇒全体主義の起源・養老孟司・メタ自己啓発(篠原)⇒フリーメーソン・お城めぐり(福島)⇒水戸黄門の歴史的意義・Audio Book⇒文化人類学者のファンタジー(露木)⇒文学史における意識の流れ小説の意義(鈴木)⇒須賀敦子作品(宮田)⇒バカロレアの哲学・不便益のすすめ(前田)

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

1.村山 豊(法)

◎『官賊と幕臣たち』原田 伊織
◎『明治維新の大嘘
司馬遼太郎の日本史の罠』
三橋 貴明
〇『明治維新の光と影』西原 春夫
△『逆説の日本史』 18-21の4巻井沢 元彦
△『明治維新とは何だったのか  世界史から考える』半藤 一利 出口 治明対談
△『書き換えられた明治維新の真実』榊原 英輔
×『明治維新とは何だったのか』一坂 太郎
×『明治維新という過ち』原田 伊織
×『幕末の大誤解』熊谷 充晃
×『微笑む慶喜』戸張 裕子
×『嘘だらけの日英近現代史』倉山 満

上記「明治維新」関連の全14冊を読了して〇△×の評価を付けた。従来の「薩長史観」すなわち明治政府の文部省が脈々と国民に伝えてきた「明治維新は薩摩藩長州藩を中心とする理想に燃えた下級武士の若者たちが近代国家を作り上げた物語」を脱却して、欧米列強とくに英国が薩長を、フランスが幕府をバックアップした内戦であったという視点がなければ理解できないということだ。

 一級の一次資料が次々とみつかり日本史は古代史から近現代史に至るまで次々に書き換えられている。考えてみれば、一定の職を持たず脱藩した若者(典型例「坂本竜馬」)が日本全国を飛び回り活動していた資金は一体だれが供給したのか。(答えは大英帝国スポンサー)江戸を目前にした東征軍が総攻撃直前で突如停戦に応じた理由(英国パークス公使の恫喝的停戦斡旋 勝西郷会談など後付けの形式)は大英帝国の立場になれば簡単に理解推定が可能だが、エビデンスがないという理由で歴史学会は退嬰していたというわけである。

2.仁多 玲子(商)

『わがまま養生訓』薬剤師・日本漢方養生学協会理事長 鈴木養平、薬日本堂 監修

貝原益軒は、江戸時代の儒学者で、また本草学者であるが、有名な著書に『養生訓』がある。『養生訓』は、日々の生活習慣を、健康法だけでなく、生き方まで言及しているというので、当時ベストセラーになった。今回紹介した『わがまま養生訓』は、忙しすぎて、自分を後回しにしている人に、著者の鈴木養平氏が、独自にポイントをピックアップして漢方の解説を交えながら伝えた本である。私は、この本に、とても感銘を受けた。自分のペースを大事にすることの大切さを感じた。皆さんにも、お勧めの本。

3.沖 宏志(理工)

『死とは何か』シェリー・ケイガン、文響社

「死」というものを宗教的にではなく、論理的に追求した本。「死」というものを語るには、「私」「同一性」「時間(今)」「神」「意識(言語)」「魂」といったものを確定しなければならないが、これらは簡単に確定できるようなものではない。そこで、様々な思考実験を展開して考えさせる。AIが出てきて、「私」「同一性」「意識(言語)」といったものも、より身近で具体的な問題になってきたような気がする。

4.篠原 泰司(一文)

『ヒトの壁』 養老猛、新潮選書

猛さんの「壁」シリーズの最新刊。これまでの「壁」に負けず劣らずの味わいのある本である。初めは科学哲学的な内容に難解さを感じたが、途中からどんどん引き込まれた。多田道雄(免疫学者)、加藤典洋(文藝評論家)らとの交流。そしてご自身の母と兄のことなど。これらの部分は特に面白く読むことができた。心に染み込んでくるような内容の濃さと深さのある一冊である。

『なんでも見つかる夜にこころだけが見つからない』 東畑開人、新潮社

これまで出版されてきた自己啓発本や生き方エッセイなどとは一線を画する、まさに「メタ自己啓発本」(P276)に相応しい一冊。本書の狙いは、わかりやすい解決法をノウハウとして提示することよりも、病んだ自己の心の捉え方を今までにない手法で示すこと。その手法が、処方箋ではなく補助線。「シェアとナイショ」、「スッキリとモヤモヤ」、「ポジティブとネガティブ」、「純粋と不純」の補助線の先に現れる患者たちの心の有り様は本当にリアリティーに溢れており、資本主義の真っ只中を漂う私たちにとっても一読の価値のある本だと思う。

★難解なので正式には紹介しなかったのですが、ハンナ・アーレントの『人間の条件』(ちくま学芸文庫)と『全体主義の起源』(みすず書房 全三巻)も読書会のメンバーにはインパクトが強かったようだ。

5.福島 碧(社学)

『フリーメーソン源流紀行-歴史の源流・古代地母神信仰』清川理一郎著
『キリストと黒いマリアの謎-異端・自由思想・ラテン系フリーメーソン』清川理一郎著
 大学の先輩が著者。隠れた人気がある著者であり、書物である。過去に映画化された。丁度この2月にロシアのウクライナへの侵攻が始まった頃に読み始めたが、これを読むとプーチンは負けると確信した。林董(ただす)氏の名前も、久しぶりにこの本で拝見した。

『収容所から来た遺書』辺見じゅん著
 以前読書会で紹介いただいた本。衝撃的だった。このところピアノソナタをよく聞くのだが、シューベルトのピアノソナタD899&D935、ベートーヴェンのピアノソナタ24-27、30-32を聴くと必ずこの本の山本幡男氏とシベリアの大地に思いを馳せてしまう。

『源頼朝』1-3巻 山岡荘八著
 以前から好きな偉人の生家や住んでいた家をよく訪ねてきた。例えば、ショパンの生家、モネの住んでいた家等。最近は、読んだ歴史書の登場人物に共感すると、そのゆかりのお城を訪ねている。最近は、徳川家康の生まれたお城の岡崎城を訪ねた。次は、小田原城を訪ねたいと思い、この本を読んだ。源頼朝の生が、本当に奇跡のようなもので、また頼朝が20年も忍耐したことに感動を覚えた。

『織田信長』1-5巻 山岡荘八著
 お城巡りで、いつか安土城跡を訪ねようかと思い、この本を読んだ。だが、信長の明智光秀へのパワハラがひどく、多分この本に書かれていないパワハラも沢山あるのではないかと想像され、結果安土城探訪は遠のいてしまった。

6.山口 伸一(理工)

『光圀伝』冲方 丁(うぶかた とう)早稲田大学第一文学部中退。

徳川家康の孫、光圀は水戸黄門として知られるが、彼は悪徳商人退治ではなく、大きく政治に関わっていた。水戸藩を納めるだけではなく、江戸を焼き尽くした大火や疫病への対応や、将軍の後継問題など幕政にも腐心していた姿を描く。「天地明察」をしのぐ傑作。

『国宝』吉田修一 オーディブル 語り 尾上 菊之助
ヤクザの息子が歌舞伎の国宝まで上り詰める物語。フィクションだが昭和から平成まで

の梨園が舞台で、家柄や襲名問題、不倫、バブルの借金、ワイドショーの攻撃など、上下2

冊の長編とは感じない面白さ。菊之助の語りも歌舞伎の場面での迫力は流石。新たな読書の

体験が楽しめた。

7.露木 肇子(法)

『香君』上下 上橋菜穂子、文藝春秋 

作者は「精霊の守り人」等守り人シリーズで著名な児童文学者で、国際アンデルセン賞をはじめとする数々の賞を受賞している。文化人類学者でもあって、人類社会の専門知識が作品に活かされている。「精霊の守り人」はNHKでドラマ化され、「獣の奏者」は同じくNHKでアニメ化されていて、いずれも絶大な人気を誇っている。「香君」はその作者の最新作で、この3月に上下2巻同時発行された。

 今回の作品も、今迄と共通の特徴を有している。まず舞台は地球のどこかだが、大陸あり海あり島ありで、そこに住む人種は様々で、文化・言葉もいろいろである。時代は中世のようで、移動手段は馬や船である。帝国と属国があり、支配者の多くは男性である。その中で異才を有する女の子が人命を助ける活躍をしながら成長していく。また、ファンタジーながらの、この世ではない別の世界と接している場所があって、まれに行き来がある。物語のテーマは、権力とは、支配とは、正義とはというもので、必ず正義が勝つので胸がすく。お孫さんがいれば是非プレゼントしてほしいファンタジー作品である。

8.鈴木 伸治(商)

『ダロウェイ夫人』バージニア・ウルフ、土屋政雄訳、光文社古典新訳文庫

この小説は、保守党国会議員の中年の妻クラリッサ・ダロウェイ夫人が政治家を招くパーティを開催する1日を描いているが、そこでは大した事は起こらず、ダロウェイ夫人ともう一人の主人公であるセプティマスの現在と過去の思い(「意識」)を中心に、二人を取り巻く人々の同じく意識が時の流れに従って淡々と綴られている。このため、ダロウェイ夫人の過去の恋愛とセプティマスの第一次世界大戦の後遺症は分かるのだが、それ以上のことが分からないというのが当初の印象だった。

『若い読者のための文学史』ジョン・サザーランド、河合祥一郎訳、すばる舎

これまででしたら、そのままなのですが、今回は『ダロウェイ夫人』の何が評価されているのか理解するため、次の本を読んでみた。この本の中で、バージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』は「意識の流れ」という技法をウルフが最も巧みに用いた作品としてとして紹介されている。そして、ジェイムズ・ジョイスの小説『ユリシーズ』の最終部分の「何ページにもわたって句読点のない」文章について、それが「一種の『意識の流れ』であり、私たちが本当に生きている場所とは、自分の心の中であると、ジョイスの小説は主張している」と指摘している。日々の自分を振り返ってみて、いかに多くの時間を「意識の流れ」の中で過ごしているか、『ダロウェイ夫人』は、そのようなことを強く認識させてくれた本である。

また、『若い読者のための文学史』は、そればかりか、カバーに記載されているように、「なぜ私たちはここにいて、どう生きればいいのか。あらゆる文学が、作家が見出した真実を答えとして提示する。本書では、社会に衝撃を与え、商業的に成功し、後世の書籍に残った魅力的な作品を、たっぷりの情報とともに面白く語り尽く」している本である。この本は、ウィリアム・H. マクニール著『世界史』を読んだ際の興奮に似たものを感じさせてくれた。

9.宮田 晶子(政経)

『コルシア書店の仲間たち』須賀敦子/白水Uブックス

『ミラノ 霧の風景』須賀敦子/白水Uブックス

どちらも、1960年から十数年ミラノに住み、カトリック左派が拠点とする書店「コルシア・デイ・セルヴィ書店」と関わった須賀敦子さんのエッセイ集。ミラノをはじめ、各地で出会った多くの人々を通じてイタリアの思い出を綴っている。彼女の人を見る目の確かさと、とても練られた文章によって、どんな思い出が語られても、その光景やその人物の人となりが鮮やかに思い浮かぶ。

10.前田 由紀(一文)

『バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く』坂本尚志、日本実業出版社

 フランスの高校生は、哲学が必修で、卒業試験で一つの哲学的問いに対して答える4時

間の筆記試験がある。抽象的な命題に対して、導入⇒展開⇒結論という流れの中に、

抽象的な言葉の定義、自分の論の反対意見を尊重するなど書き方の実践を公開している。

『不便益のススメ 新しいデザインを求めて』川上浩司、岩波書店

技術は、生活をより便利にするために進歩してきた。しかしこれからの未来、この便利さを追求するあまり失ってしまう価値もあるのではないか、あえて手間をかけることで、新しい価値、発想、アイデアが生まれることを示唆してくれる。不便さを自ら取捨選択し主体的に生きる。素数しか目盛りのないものさし、消えていくナビ、その店限定京土産など開発した京都大学情報学研究者からの新鮮かつ貴重な提案である。

これまでの読書会報告集
これまでのBook List
次回 第10回 54ら読書会
8月26日(金)ホスト 宮田晶子(一文)
※11月、2月、5月、8月の第4金曜日 
19:30~21:00実施予定