2023/08/25第14回夏の読書会報告

2023.8.25

【参加者】

篠原泰司(一文)、村山豊(法)、鈴木伸治(商)、内田大雅(二文)、石河久美子(一文)、沖宏志(理工)、露木肇子(法)、山口伸一(理工)、前田由紀(一文)、斎藤悟(商)、仁多玲子(商)宮田晶子(政経)

(以上12名、敬称略)

 54ら会のオンライン読書会、3ヶ月ごとの開催で14回目を迎えました。今回は常連の皆様に加え、初参加の方がお一人いらっしゃいました。読書会の仲間が増えるのは嬉しいことです。

 以下は当日、挙げていただいた本を発表者のお名前とともに紹介いたします。推しの本について、それぞれ長いコメントをいただいており、それをそのまま(文体は常体に統一しました)掲載しております(順不同)。

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

1 篠原泰司さん(一文)

『一下級将校の見た帝国陸軍』 山本七平(文春文庫)

 1980年に出版された本ではあるが、現在も愛読者が多くぜひ読んでみたいと思っていた本。

一下級将校としての自己の従軍経験をとおして見た日本人の心性や日本的組織への洞察が素晴らしい。戦後78年を経過しても日本人と日本社会は、悪い意味でその本質を変化させずにいるのだと感じさせられた。

『マイ・ブロークン・マリコ』 平庫ワカ(KADOKAWA)

 昨年(2022年9月)に映画化され、023年8月29日現在Amazon Primeで無料視聴が可能。

「布団の中から蜂起せよ」という本で取り上げられていて興味を惹かれてコミック本を購入したのが数か月前。最近Amazon Primeで映画も視聴。なかなかの出来だと思った。

 主人公シノイトモヨが、父親からのDVの末に自殺した友人のマリコの骨壺を強奪して、東北地方にある「まりがおか岬」まで行って散骨するまでの話。ロードムービーである。シスターフッド(女性同士の連帯)の文脈にDVを置くことで新しい視界(希望?)が開かれたような気がした。「布団の中から蜂起せよ」p.83で高島玲が「物語が必要だ」と述べていることの意味はこういうことなのかもしれない。

2 村山豊さん(法)

『風と共に去りぬ』 マーガレット・ミッチェル(新潮文庫)

NYMC男声合唱団の演奏会準備で南北戦争に興味を持ち、「風と共に去りぬ」を初めて「いまさら」読んだ。南北戦争が太平洋戦争と酷似していると感じる一方、女性視点(妻、義妹)とのギャップが興味深い。レット・バトラーは素敵だがありふれたタイプ、スカーレットは可愛いが性格的に私には耐えられないと感じた。多面的なテーマ(恋愛、南北問題、黒人問題)と強烈な南部英語の表現が印象的で、原文も確認してみたいと思う。  例えば「命令形+さもないと『生皮を剝がしてやる』『尻を蹴っ飛ばしてやる』」等々

3 鈴木伸治さん(商)

『農業問題−TPP後、農政はこう変わる』本間正義(ちくま新書)

 相続した農地は、農地としてしか利用できず、賃貸・譲渡も農業者にしか認められていないと聞いていたので、農地に係る規制の内容について、市役所の農業委員会に聞きに行ったところ、「農地に係る規制を取りまとめた資料はなく届出書があるだけで、根拠となるものは法令で法令にあたってほしい」との回答であった。そのため、農地規制の解説書を探したが見当たらなかったことから、まずは日本の農業に関する本として読んだもの。

 日本の農業は、戦後の農地改革によって農地を小作農に解放したため小規模家族経営の農家を増大させ、それを保護するため現状でも農地の所有は農業者に限られ、法人は農業者が決定権を掌握する農業生産法人にのみ認める制度になっている。このため、農地が英国の1/40、フランスの1/20程度と小規模な農家がほとんどであるという日本農業の問題解決を阻害している。

 ただし、日本の農家は兼業農家が大層を占めて貧しくはないことから小規模優遇政策を支持しており、さらに農業協同組合は組合員や取扱高、政治家は農村票、農水省は予算の維持のため小規模優遇策を推進することになる。

『高慢と偏見』ジェイン・オースティン著 大島一彦訳(中公文庫)

 14年前に「自負と偏見」中野好夫訳を読んで高評価の記録を残しているものの記憶に残っていないことから、再読するために最近の訳本を比較して自分の世代に適っているのではないかと思い紹介したい。(注)次の冒頭の訳はあるWebに掲載されていたもの。

・中野康司訳、「高慢と偏見」ちくま文庫(2003年)

 金持ちの独身男性はみんな花嫁募集中にちがいない。これは世間一般に認められた真理である。

・小尾芙佐訳、「高慢と偏見」光文社古典新訳文庫(2011年)

 独身の青年で莫大な財産があるといえば、これはもうぜひとも妻が必要だというのが、おしなべて世間の認める真実である。

・小山太一訳、「自負と偏見」新潮文庫(2014年)

 世の中の誰もが認める真理のひとつに、このようなものがある。たっぷり財産のある独身の男性なら、結婚相手が必要に違いないというのだ。

・大島一彦訳、「高慢と偏見」中公文庫(2017年)

 独身の男でかなりの財産の持ち主ならば、必ずや妻を必要としているにちがいない。これは世にあまねく認められた真実である。

4 内田大雅さん(二文)

『死の講義』橋爪大三郎 ダイヤモンド社

 この本のテーマは死である。著者曰く、「日本人は死ぬということがどういうことか分かってない人がほとんどだ。それは言い換えれば、生きるとはどういうことかということが分かっていないという可能性が高い。この機会に死を鏡にして、自分の生きているいうことを照らし直してみよう」この本は僕が僧侶を目指して修行を積んでいたときに読んで、とても勇気づけられた。

5 石河久美子さん(一文)

戦争花嫁に関する本を2冊紹介した。

『非色』有吉佐和子(河出文庫)

 黒人兵と結婚した主人公が、混血児を日本で出産、その肌の色などで差別されることから、夫の住むニューヨークに移り住むが、そこはハーレム、稼ぎの悪い夫と次々生まれる子どもを抱えながら、貧困の中で生き抜く姿が描かれる。また、白人と結婚し裕福な生活をしていると思っていた戦争花嫁の知人が、アメリカ社会では、黒人より下に位置づけられるプエルトリコ人と結婚して自分よりさらにひどい生活をしていた顛末などが描かれる。アメリカの社会階層、人種問題の複雑さがストーリーを通して浮き彫りになっていくパワフルな作品。

『花嫁のアメリカ』成常夫(論創社)

 写真と文章を組み合わせたフォトノンフィクション。1970年代後半、100名余りの戦争花嫁を撮影取材、さらに20年後、その後の花嫁たちの動向を追ってまとめたもの。文化や言語の違う異国で離婚しシングルマザーになったり、「非色」の主人公のように黒人と結婚して差別や偏見にさらされたりの過酷な人生が本人たちの言葉で淡々と語られる。戦争花嫁たちは生きていれば大半が90代、すでに鬼籍に入った人も多い。花嫁たちの実態を記した貴重な記録である。

6 沖 宏志さん(理工)

『老神介護』劉滋欣(角川書店)

 5つの短編集。『地球大砲』は、主人公が「世界を破滅に導く男の子」で、野心と創造力をあわせ持つ。この男の子は中国、もしくは中国共産党を連想させた。「一党独裁全体主義」と「イノベーション」を今のところあわせ持つ中国が世界を破滅に導かないことを願う。

「扶養人類」は、貧富の格差がますます拡大して、地球がほとんど一人の金持ちの私有財産になってその金持ちが大衆に「地球から出ていってくれ」という話。ピケティの「テクノロジーの進化により、全人類の総需要が一人の人が半日働くだけでまかなえるようになった時、富の分配はどうするのか?」という問いかけに思いをはせた。

7 露木肇子さん(法)

『「赤毛のアン」の秘密』小倉千加子 (岩波現代文庫)

 1908年、カナダで、L・M・モンゴメリ作「グリーンゲイブルスのアン」が出版された。日本では1952年に村岡花子訳「赤毛のアン」の初版が出た。

 その後1979年にフジテレビがアニメを放映し、2014年にはNHKが朝ドラ「花子とアン」で村岡花子の生涯をとりあげ、2017年にはカナダで「アンという名の少女」というテレビドラマが始まり、現在もNHKBSで放映されているという人気ぶりだ。舞台となるカナダの片隅にあるプリンスエドワード島には、日本人観光客がひっきりなしに訪れ、日本で出版される写真集も多い。

 私も小学生からのアン・フリークで、モンゴメリの全作品を読破し、プリンスエドワード島どころか、モンゴメリが結婚してから15年ほど住んだトロント郊外のリースクデールまで訪れている。

 「赤毛のアン」にはいくつか謎があるが、最大の謎は、なぜ「赤毛のアン」は特に日本の少女に人気なのかである。

 またモンゴメリは、晩年はうつ病にかかり、1942年に67才で自殺したと言われているが、なぜモンゴメリは自殺に至ったのか、これが次の謎である。

 著者は早大院卒の心理学者であり、本著においてモンゴメリを冷酷に分析してこれらの謎に迫っているが、それはアン・フリークには時に怒りを覚えさせるほどの内容である。しかし、一方で、自己の矛盾を気付かせてくれる、私にはどうにも無視し難い本である。

8 山口伸一さん(理工)

『地図と拳』 小川 哲 (集英社)

 第168回直木賞受賞作。命をかけて満州の測量を描いた親子二代の技師の物語。

 ロシアの日本侵攻の恐怖にどう対抗するかで日本は満州の侵略を選択した。が、日清戦争で中国軍隊は恐れるに足りずと誤解した日本軍は、民衆の激しい憎悪からの抵抗に苦戦する。

 歴史上、外国との戦争や交渉の経験が浅い日本人に海外の統治は可能なのか。日本人が他人を使って事をなすマネジメント能力の低さを痛切に感じた。

9 前田由紀さん(一文)

『牧野富太郎自叙伝』牧野富太郎(講談社学術文庫)

 NHK朝の連続ドラマ「らんまん」のモデルとなった牧野富太郎の自伝である。日本植物分類学の草分けとして研究に邁進した軌跡は、実に面白い。土佐の旧家出身であるが、学問の盛んな土地柄で、十代前半で、福沢諭吉『世界国尽』、河元幸民『気海観瀾広義』等の日進の学問に触れ、英学もかなり早くから専門書を読んでいた。独学で植物学に関する書物を読み尽くし、精細な図解の技量も会得する。突出する才能は、大学では妬みの対象となり、冷たい処遇を受け、経済的にも困窮するが、土佐の岩崎氏など様々な篤志家が現れ、支援を受ける。最後まで一書生然として嬉々として研究に励み、採集で野山を駆け巡る姿は、清々しい。軽妙な語り口は、ユーモアにあふれている。家族の手記もあり、昭和天皇へのご進講で、皇居の植物について天皇と語り合う幸福な場面が印象的だ。

 読書会で、露木さんから、同じく牧野博士を主人公とした朝井まかて著『ボタニカ』を紹介された。自伝では独りよがりの面もあり、より客観的な牧野像が描かれていることだろう。

10 宮田晶子(政経)

『マチスのみかた』猪熊弦一郎(作品社)

 2023年8月20日まで開催されていたマティス展。それでマティスの弟子であった洋画家、猪熊弦一郎のこの本を手に取ってみた。画家の鑑賞の仕方というのが興味深かった。また、マティスはピカソのような天才というより努力の人なのだと感じた。単純化された簡単そうに見える線は何十枚ものデッサンから生み出されたもの。「マティスが好きと言い得るが、わかる事は難しい」という言葉に納得した。

本の紹介はされませんでしたが、ご参加下さった方から次のような感想をいただいています。

仁多玲子さん(商学部)

 先日の読書会は、今回紹介したい本が見当たらなく、見学で参加させていただきました。

 皆さんが紹介する本は、ユニークで聞かないと知らない本ばかりで、とても面白かったです。なかには、有名な本を、自分流に紹介された方もいますが、それはそれで興味深かったです。 幹事の皆さん、いついつもありがとうございます。読書会の盛会を、これからもお祈りします。

2023/11/03〜04 ゴルフを楽しもう会 秋合宿報告

紅葉秋合宿

ゴルフを楽しもう会「秋合宿」第10回を開催
平成26(2014)年から開催している「54ら会ゴルフを楽しもう会秋合宿」を恒例の『きぬがわ高原カントリークラブ』で11月3日~4日、1泊2日2プレーで実施しました。
今回は開始から数えて、10回目の記念の会となりました。
コロナも比較的落ち着いてきた中の開催でしたが、やっと旅行も懇親会も楽しめるタイミングになり、皆さんの笑顔溢れる会になりました。
今回は15人が参加。
鬼怒川温泉駅からゴルフ場に向かう日塩もみじライン途中にある白滝では、クラブバスを停めていただき紅葉真っ盛りをバックに記念撮影。小春日和の暖かい、そして晴天の下で2日間ゴルフを楽しみました。
ゴルフ場でも紅葉、そして夜は木星が特に明るく見える「衝」の日で、皆で満点の星空を満喫しました。
12人用ロッジを2棟独占し、石川ご夫妻のご協力で高級なブランド牛のすき焼き・しゃぶしゃぶ・塩ちゃんこを食しながら久しぶりの対面で仲間との時間を共有できたことは、この上ない幸せでした。
帰路は鬼怒川温泉駅で足湯を楽しみ、さらに今年7月15日からサービスを開始した新型特急「スページアX」で新しい贅沢を満喫。
「秋合宿は続く」を皆さまで約束して浅草駅で解散となりました。
(小山田 薫 記/文責者)

【参加者】(50音順、敬称略)
石川昌義、石川 由美、稲葉 浩久、遠藤弘文、小山田 薫、大和田秀二、片桐孝宏、片桐幸、系野力、櫻井直子、首藤典子、中村敏昭、益田聡、森元 晴一、横田敬介

2024/01/27初打ち54らゴルフ

中山カントリークラブにて

日程  2024年1/27(土) 
ティーオフ  OUT 9:59 より5組

場所  中山カントリークラブ  
〒276-0007 千葉県八千代市桑橋(そうのはし)1299番地 
TEL 047-459-2141 / FAX 047-450-3321

料金  決定次第表示します 

集合  東葉高速鉄道 八千代緑が丘駅 
8:50発 のクラブバスに乗ります 

自家用車の方は現地でお会いしましょう。 

スタート15分前に全員で記念写真を撮ります。 

新年会  場所が決定次第表示します 

先着 20名 

幹事:中村(理工)、益田(理工)

2024/01/20 54ラン会 早稲田駅伝

早稲田駅伝が、2024年1月20日(土曜日)
日産スタジアム(横浜市)
で開催されます。

https://www.wiz-spo.jp/waseda-ekiden/

54ラン会でチームを組んで参加予定。
メンバー募中です。
1周1.6キロのコースを2〜10人で14周(合計22.4キロ)します。
ひとり1周以上走れば、走順は自由です。

2023/12/16臨時総会&忘年会

54ら会『2023臨時総会&忘年会』のお知らせ

ようやくコロナ禍の縛りから解放された2023年。
この一年を締めくくるために『2023臨時総会&忘年会』を予定しています。
54ら会の活動の報告のあと,お楽しみ講演会や余興などで時間を共有しましょう。
万障繰り合わせの上,ご参加下さい。
なお,収容人数に限りがありますので先着順とさせていただきます。
      
      記
日時:2023年12月16日(土)15:00~18:00
場所:染谷国際記念会館 レセプションルーム
   https://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2014/06/map_jp.pdf
会費:5,000~6,000円程度

2023/11/17 第15回秋の読書会

11月17日(金)
19:30~21:00
オンライン開催

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参加者がお気に入りの本を紹介しあう会です。
年4回、2月、5月、8月、11月の第4金曜日に開催しておりますが、

今回は、第3金曜日となります。
各学部出身の参加者により様々なジャンルの本と出会えるのが醍醐味です。
本のみならず、映画や雑誌でも大丈夫、また視聴のみの参加もOK。
お一人、5分位でお薦めの本の紹介をお願いしています。
参加費無料で、ご都合の良い日のみご参加いただけます。
11月13日までにお申し込みください。
お申し込みの方にはzoom案内メールを差し上げます。

*過去の読書会の様子は54ら会HP「活動報告」からもご覧いただけます。

これまでの読書会報告集
これまでのBook List

担当:前田由紀(一文)

2023/11/03~04 ゴルフを楽しもう会(締め切りました)

第8回ゴルフ秋合宿 
54ら会『ゴルフを楽しもう会』会員各位の皆様はお元気でゴルフに勤しまれているでしょうか?
さて、恒例の54ら会『ゴルフを楽しもう会 秋合宿』の連絡です。
「ブレークスルー感染」がないよう、一人ひとりが自覚を持って、
紅葉真っ盛りのきぬがわ高原カントリークラブでプレーを楽しみましょう!
今年度は7組28 人の枠を抑えています。奮ってご参加ください。
申し込み締め切り日

◆ 日 時:2023年11 月 3 日(金 祝)~ 4 日(土) 

◆ 場 所:きぬがわ高原カントリークラブ
http://www.kinugawakogen-cc.jp/) 
〒321-2615 栃木県日光市五十里字東山722 
       TEL 0288-78-1010 
◆ スケジュール(車で来られる方はスタートまでに昼食を済ませておいでください) 

【11 月 3 日(金)】 

・ 7時15 分までに東武線 浅草駅改札口(2階)に集合(時間厳守) 
乗車券・特急券はその時にお渡ししますので、各自の購入は不要です。 
・ 7:30 特急「リバティきぬ105 号(鬼怒川温泉駅行)」 
この車両はコンパートメント室がありませんので、一般の特急席です 
・ 9:35 鬼怒川温泉駅着
  (クラブバスでゴルフ場へ) 
途中紅葉名所の白糸の滝で写真撮影 
・ 10:30 頃 きぬがわ高原カントリークラブ着 
・着替え・昼食バイキング 
・ 11:16 OUT3組/IN4組同時スタート(セルフ・スループレー) 
・ 16 時頃 アップ 
・クラブハウスで入浴 
・ 18 時頃からロッジで夕食・懇親会 

【11 月 4 日(土)】 

・ 7:15 朝食 
・ 8:00 OUT/IN 同時スタート(セルフ・スループレー) 
・ 13:15 頃 アップ 
・昼食バイキング、入浴、宅急便手配など 
・ 14:45 頃 きぬがわ高原カントリークラブ発(クラブバスで鬼怒川温泉駅へ) 
・ 15:30 頃 鬼怒川温泉駅着 
・ 16:07 特急「リバティ会津(浅草行)」 
・ 18:15 浅草駅着(自由解散) 

なお、特急「スページアX8号」鬼怒川温泉駅16:17 発・浅草18:45 着の
チケット予約も チャレンジしてみます。 

幹事:益田(理工)、中村(理工)

2023/08/25 第14回夏の読書会

8月25日(金)オンライン「夏の読書会」
19:30〜21:00

参加者がお気に入りの本を紹介しあう会です。
各学部出身の参加者により様々なジャンルの本と出会えるのが醍醐味です。
活字の本のみならず、漫画、雑誌、映画でも大丈夫、また視聴のみの参加もOK。
お一人、5分位で本の紹介をお願いしています。
54ら会HP「イベント」から8月22日までにお申し込みください。
お申し込みの方にはzoom案内メールを差し上げます。

*過去の読書会の様子は54ら会HP「活動報告」からもご覧いただけます。

これまでの読書会報告集
これまでのBook List

担当:宮田晶子(政経)

2023/08/23 ボウリングの集い

日時:8月23日(水)18:30〜
場所:高田馬場グランドボウル ビッグボックス8F
費用 7000円
   2ゲーム・靴代・懇親会代・賞品代
競技方法:2ゲームのハンデ戦 個人戦・団体戦
懇親会:9Fの「わん」にて飲み放題

久し振りにゴジラの仲間とピンを弾き飛ばし、
スカッとストレスを解消し、冷たいビールで乾杯と行きましょう。
締め切りは7月31日(月)で〆させて頂きます

                   担当:岡野勝(理工)

2023/05/26 第13回春の読書会報告

第13回 春の54ら読書会報告 2023年5月26日(金)

人類の起源から始まった今回の読書会。DNA解析から新たな歴史が解明されるのだろう。山岡荘八の文庫全巻読破した発表者。一人の作家を読み通すとどんな景色が見えるのだろう。読書は、登山のようだ。社会福祉学の専門家から「境界知能」という言葉を知る。中国経済の台頭は目覚ましいが、グワンシ(関係)文化が富を生むメカニズムだという。紹介されたカズオイシグロの映画「生きるLiving」は、当日観たばかりで偶然に驚いた。健康のための最強レシピもこれから欠かせない要素だ。54ら句会幹事広渡詩乃さんの句が掲載された『俳壇』。俳句は、身近な言葉の芸術だ。旅行が楽しみな年代となったが、沢木耕太郎の9年ぶり大作による稀有な旅人のお話。そして3月に逝去した坂本龍一の自伝。今回も全参加者が5分位ずつお薦めの本等を紹介し、多岐にわたる本の旅を一緒に満喫でき、新しい参加者もおられたので、改めて自己紹介し合う良き機会となった。(前田)

参加者の皆さんは、ご覧の通り。(発表順)
篠原泰司さん、福島碧さん、石河久美子さん、沖宏志さん、
仁多玲子さん、鈴木伸治さん、宮田晶子さん、前田由紀の8名

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

1.篠原泰司(一文)

『人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』
篠田 謙一、中公新書

 PCR法の使用で古代DNA研究の分野がめざましい成果をあげているらしい。この本は現時点でのその成果を著したものだ。2022年10月にノーベル生理学・医学賞を受賞したスバンテ・ペーボ博士の研究分野がまさに古代DNA研究だった。ノーベル賞受賞後の2022年10月以降この本の売上も倍増し、2023新書大賞の2位にもなった。デニソワ人や出アフリカの新しいストーリーなど興味深い記述も多いのだが、世界各地での古代DNA解析がまだ途上にあり記述が中途半端になっている面も多いと感じられる。でも、古代DNA 解析が進めば驚くような古代のストーリーが出現するかもしれない。何年後かの同分野の新しい本の登場が今から楽しみでもある。

『目的への抵抗 シリーズ哲学講話』國分功一朗、新潮新書

コロナ禍での二つの講義を本にしたもの。「目的に抗するところにこそ人間の自由がある」(P3)というのが本書の主題である。人間の自由を奪うのは政治や国家という外部ではなく、実は自己の心なのではないか?薄い本ではあるが、内容は濃く重厚だ。ぜひ読んでほしい一冊である。

『メディチ家』森田義之、講談社現代新書

コロナ禍が終了し、海外旅行、特にヨーロッパ方面への旅行を計画している人も多くいると思われる。もしイタリア方面に行かれるなら、ぜひ一読してほしい本である。内容の濃さは群を抜いている。私もイタリアが好きで多くの本を読んできたが、最高の部類に入る一冊だと思う。フィレンツェの貴族メディチ家の歴史について書かれた本だが、フィレンツェだけではなくイタリアやヨーロッパ全体の歴史を理解する助けにもなるだろう。ルネサンス美術を鑑賞理解する際の強力な土台になる知識が網羅されている。

2.福島 碧(社学)

『小説 太平洋戦争』1巻~9巻、山岡荘八、講談社

「これを国民のために書かないうちは、死ねないと思った」という著者山岡荘八(スゴい!)。確かに、山岡(以下敬称略)は、この9冊を66才(なんと私達と同じ歳)で書き上げ、5年後の71歳で亡くなっています。この中で、山岡は繰り返し述べていますが、この太平洋戦争は、アメリカ大統領(当時)ルーズベルトとイギリスのチャーチルの太平洋上のヨットでの密約から始まり、欧米人ではない“ジャップ(猿)“が東南アジアへ領土を拡大するのはけしからん、ましてやドイツ、イタリアと3国同盟など許せない、との理由だったとのこと。人種差別以外の何物でもないですね。これからすると、欧米人は、日本が世界のNO.1になるのは許さない、→従って、トヨタが世界1の売り上げとなるのは許さない、→電気自動車以外ゆるさない、となるのでは?と思ったりします。また、今ウクライナでの核兵器の使用が危惧されていますが、広島・長崎への人類初の原子爆弾による人体実験(人類差別)という見方からすると、かつての同国人であるウクライナへの核使用は、ないと考えられます。今まで、太平洋戦争について学校で教わることはなく、この本で初めて実態を知りました。山岡の強烈なメッセージを受け取りました。(これで、文庫として発刊されている山岡荘八の全書籍100巻の読了となりました。あらためて、山岡氏の生き方に近づけたように思います。中でも、『徳川家康』、この『太平洋戦争』は、もう一度ゆっくり読み返してみたいと思っています。)

3.石河 久美子(一文)

『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治、新潮新書

少年院に居る少年たちの中には、発達障害や知的障害を持つ者が多く含まれる。ケーキを切ろうとするといびつになってしまうように、これらの少年たちは世の中が歪んで見えていたり、人とうまくコミュニケーションが取れなかったりする。そのことが家庭でも学校でも気づかれることなくやがて非行に手を染めることになる。特定の読者に限定されがちな内容であるが、「ケーキが切れない」と「非行少年」を組み合わせたタイトルの妙と少年が切り分けたケーキの図を示すことで、一般読者も手に取りやすい本になっている。ベストセラー。アニメ版もある。

映画 「生きる Living 」監督 オリヴァー・ハーマナス

カズオイシグロの脚本で話題になった黒澤明の名作「生きる」のイギリスリメイク版。黒澤版のストーリー展開をほぼ忠実に再現し、エピソードの数々も工夫して取り入れているが、趣はやや異なる。黒澤版の主人公は冴えない小役人風だが、イギリス版は偏屈ながらも品格のあるイギリス紳士。黒澤版はテーマがストレートで滑稽な部分もあったりするが、イギリス版は、しみじみと余韻を残すような静けさが感じられる。2作品を見比べるのも楽しい。

4.沖 宏志(理工)

『レッド・ルーレット』デズモンド・シャム(草思社)

現代中国の中で、富を生むメカニズムを実体験から暴露した本で、特にその負の側面に焦点をあてている。赤い貴族と言われる共産党の幹部と家族が、コネを存分に利用して、利権をむさぼる構造が描かれている。しかし習近平が国の形を変えた。起業家や富裕層を弱体化させ、市民社会の芽を摘み取り、アリババのジャック・マーにも国のためのスパイ活動を強要できるようにした。この新中国でイノベーションが続くかどうかが注目される。

5.仁多 玲子(商)

『「がん」を生き抜く最強のレシピ』森山晃嗣 森山瑠水、飯塚喬子、コスモトゥーワン

森山晃嗣先生は、NPO法人がんコントロール協会の理事長をやってらして、日々健康についてご尽力されています。森山瑠水さんは、森山先生の娘さんで、がんコントロール協会の理事になっています。飯塚喬子さんは、フードコーディネーターとして活躍されています。本書は、3人の共著であり、がんという病気にとって、食事がいかに大切か教えています。食事によっては、がん細胞を抑制することも、逆に増殖させることにもなるのです。その食事について、その理論と、食べた方がいい食事の献立まで、詳しく解説されています。もし、がんになるのが怖い方は、一度読まれてはいかがでしょうか?

『俳壇』2023年6月号、本阿弥書店            

先日、54ら句会でお世話になりました、幹事の広渡詩乃さんの俳句が、「特集 俳句の新しい風」というところで、8句紹介されています。

6.宮田 晶子(政経)

『天路の旅人』沢木耕太郎 新潮社

日中戦争下に密偵として内モンゴルから河西回廊を経てチベットに行った日本人、西川一三の旅を辿った物語。ラマ僧に身をやつしての旅のすごさにも驚かされるが、戦後日本に戻って淡々と理容関係の卸業を続け、単調とも言える日々を送った西川の後半生も印象深かった。

7.前田 由紀(一文)

『音楽は自由にする』坂本龍一、新潮文庫

 今月3月、学生時代からずっと注目してきた坂本龍一がこの世を去った。YMOで世界を席巻し、戦メリやラストエンペラーなど多くの映画音楽で魅了し、環境、原発、非戦と社会問題でも積極的に発言した彼の軌跡を、この自伝を読み返すことで辿ることできた。読書家で、「本本堂」という自らの出版社を設立しているのも興味深かった。年齢を重ねながらも常に新しい音楽を追求し、世界の仲間と交流し、自然と対話する姿は、彼の音楽と共に心に染み入るものである。