2022/7/15 出版のお知らせ 小川秀樹

今月、研究仲間と書籍を出版します。
 小川秀樹(政治経済学部政治学科)

『三浦按針の謎に迫るー家康を支えたイギリス人臣下の実像』
 森良和、小川秀樹、フレデリック・クレインス編  
 玉川大学出版部 2022年7月刊行予定

平戸で発掘されたイギリス人ウィリアム・アダムス=三浦按針のものと
される遺骨の最新のDNA鑑定結果が出て、母方はイベリア半島がルー
ツとの驚きの結果が。本書はその謎にも迫っていきます。
 
 江戸初期は日本近世史上でも例外的なグローバル時代でした。日本を
舞台にポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスの各国が入り乱れて
活発な外交活動を展開し、これらの国と結んで徳川家、諸大名、上方
西国の大商人、唐人商人らも利権を競い合いました。
そうしたなかで、徳川家康に仕えた三浦按針が大きな役割を果たしたの
は周知のとおりです。
 本書は、按針に関心を持つ国内の研究者が、それぞれの立場から按針
を多面的に捉え、その成果をまとめたものです。史料解読のほか科学的
分析も加えての考察ですが、大胆な仮説や問題提起も含まれます。
近年平戸の伝按針墓から出土した遺骨の科学的分析結果も注目を集めま
した。それらを踏まえた按針研究の新しい知見をぜひお楽しみください。


       各章と執筆者

第Ⅰ部 アダムスが見た世界と日本
第1章 イギリス人がなぜオランダ船でやって来たのか
   ーアダムスのドーヴァー海峡対岸への眼差し
    小川秀樹(元千葉大学・岡山大学教授、グローバル社会史)
第2章 アダムスとカトリック勢力
   ーアダムスが日本をスペインの侵略から救ったのか
     森良和(元玉川大学教授、西洋近世史)
第3章 平戸イギリス商館と幕府・平戸領主との権力関係
   ー按針が生きた時代の「代替り」
     鍋本由徳(日本大学教授、英学史)
第4章 帰国しなかった理由をめぐる一試論
   ー「エミグレ」か「ディアスポラ」か
      小川秀樹

第Ⅱ部 アダムスは卓越した航海士か、有能な貿易家か
第5章 「提督」向井政綱・忠勝とアダムス   
     小川雄(日本大学助教、江戸海運史)
第6章 アダムス作製の日本地図ー蝦夷、北方航路探検との関連で   
      森 良和
第7章 オランダ商館のためにも尽力した按針
   ー新出「按針宛書状」4通の分析を通じて
       フレデリック・クレインス
      (国際日本文化研究センター教授、日欧交渉史)
第8章 イギリス商館が短命に終わった理由
   ーオランダ商館こそアダムスの遺産か
      高千穂安長(元玉川大学教授、国際経営論)

第Ⅲ部 日本に骨を埋めたアダムスのルーツを探る
第9章 伝三浦按針墓出土の人骨を鑑定して   
    松下孝幸
    (人類学ミュージアム館長・元長崎大学助教授、人類学)
    松下真美(人類学研究機構・調査研究課課長、人類学)
第10章 「伝按針墓の遺骨」のDNA分析ー遺骨はかく語りき
   水野文月(東邦大学助教、古代ゲノム論・自然人類学)
第11章 アダムスの出自の謎を読み解く
   ー按針は「青い目のサムライ」か  小川秀樹
第12章 伝按針墓の歴史学的考察
   ー出土した遺骨がアダムスとは別人の可能性はあるか    
     森 良和
終 章 等身大のアダムス像を求めて      森 良和

書籍表紙