2026/05/29第25回春の読書会報告

25回春のオンライン54ら読書会                        2026.5.29

【参加者】

篠原泰司(一文)、櫻井直子(一文)、沖宏志(理工)、
石河久美子(一文)、鈴木伸治(商)、首藤典子(一文)、
山口伸一(理工)、露木肇子(法)、福島碧(社学)、
仁多玲子(商)、斎藤悟(社学)、宮田晶子(政経)、
前田由紀(一文)
(以上13名、発表順、敬称略)

 第25回は、イランと米・イスラエル戦争の背景は何か、ユダヤ人と米の福音派から探る本から始まり、身近な関心事であるお墓や遺品整理、定年後、看取り、元気な90代、詐欺グループのほか、スポーツ系、NHK朝ドラ関連、三浦按針や空海の歴史もの、アウトロー、生命科学、AI、宇宙、川上未映子や金原ひとみ等22作品と多岐にわたり、今回もあっという間の充実した一夜となった。
(発表順、文体は常体に統一)

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

〇篠原泰司(一文)

『ユダヤ人の歴史』鶴見太郎、中公新書

ガザの惨状を見聞きするときに感じる、いたたまれなさ、無力感、やるせなさ、などはこの本を読むことによって多少なりとも緩和できそうな気がする。ディアスポラによって世界に広がったユダヤ教を信じるユダヤ人なる人たちは単一の人種・民族としてはありえないという事実を知りえたことはこの本から得た大きな収穫だった。
ナチスの犯したホロコースト(絶滅収容所による)は、「人種という概念にとり憑かれたユダヤ人陰謀論のなれの果てだった」(P223)という。してみれば、ユダヤ人という存在を人種や民族という概念でとらえるのが幻想であるなら、シオニズムが掲げるユダヤ人の国家というのも幻想の上に成り立っている陰謀論とほとんど変わらないことではないか?シオニズムやポグロム(民衆間の集団暴力)、スファラディームやアシュケナジームなどの言葉を今までどうして知らなかったのか?自分のパレスチナ問題に対する理解がいかに浅いものだったか気付かされる一冊だった。

『福音派終末論に引き裂かれるアメリカ社会』加藤喜之、中公新書

イスラエル=ユダヤ人の国をとりあげたら、それを背後で強力に支援しているアメリカも取り上げないわけにはいかない。キリスト教福音派と歴代大統領の関係は常に密接なものがあり、トランプ大統領だけの問題ではない。しかしトランプ大統領は政治と宗教の垣根を曖昧にし、選挙結果の否認や神の権威を使った敵対勢力への圧力などによって民主義の崩壊につながりかねないという懸念をばらまいている。ちなみにアメリカがなぜイスラエルを後押しするかというとディスペンセーション主義と福音派の終末論による。

『生命とは何か 溶けていく「個体」の境界線』中屋敷均、講談社現代新書

生命を一つの個体という単位で捉えるのでなく、外部の多様な存在たちとの絡み合いの中で捉えた方が生命現象を語るうえでは事実に近いのではないかという観点で書かれた本である。溶けていく境界線の向こうには「個体」はあるだろうか?近代的な自我の観念を生命現象にもあてはめているだけのではないか?葉緑素(シアノバクテリア)やミトコンドリアの話など、興味深い話がてんこ盛りで語られている。面白かった。

〇櫻井直子(一文)

『夫の墓には入りません』柿谷美雨、中公文庫

長崎に住む60代の専業主婦の主人公の夫が出張中に突然死亡した。近くに住む夫の実家は嫁として義両親の面倒をみることを強要し、さらに、夫が隠していた過去が露見され、ついに夫の家族との姻族関係終了届を提出することを決心した。一人では困難なことだったが、疎遠だった実の父親が、自分のために力を貸してくれた。義理の家族と実の家族との対比で物語は進み、最後は実の父親に頼れることが分かって、ほっとする結末になった。

『姑の遺品整理は、迷惑です』柿谷美雨、双葉文庫

70代後半の義母が急死し、遺品整理をする事になった主人公。義母はエレベーターのない団地の4階に住んでいたため、大量の物を整理しゴミを捨てるのに苦労した。自分ですべて片付けて逝った実家の母と比較し、義母を恨む日々だったが、隣の親子や自治会の人を通して、恩人といわれるほど情のあった義母の一面を知る。そのお陰で助けてくれる人も多かった。遺品整理の面倒をかけられたが、義母の人柄を知ることができたことで「遺品整理は迷惑ではなかった」という心温まる話だった。

『金環日食』阿部暁子、創元推理文庫

人公の女子学生が親しくする老婦人がひったくり被害に遭う場面に遭遇し、犯人を追ったが取り逃した。一緒に追った男子高校生と犯人をつきとめるために捜索を行う。他方、経済的困難な女子高校生は老人に個人情報を聞き出す高額なアルバイトをして家族を助けている。ひったくり犯人が詐欺グループに関係することをつきとめたが、男子高校生や女子高校生、犯人の正体が反転する。物語は二転三転し、老婦人までも詐欺事件が関係するなど、最後には唖然とする結末となった。詐欺事件に少年少女が関わってしまう罠が描かれ、物語の展開が面白い小説だった。

〇沖宏志(理工)

『定年後、その後』楠木新、プレジデント社
老後には60代の「定年後」と70歳からの「定年後、その後」がある。
「定年後、その後」をどう生きるか?と問いかけるもの。イキイキ過ごす5つの分野があると主張する。すなわち
①起業(一人ビジネス)、②組織で働く、③趣味、
④地域活動・ボランティア⑤学び
また、著者は小さい頃から、次の3つの疑問を持っていて、この歳になってもわからない…との事。
①「人は死んだらどこへ行くのか」
②「宇宙の果てはどこまで続き、その先には何があるのか」
③「昨日寝た自分と、今朝起きた自分は、本当に同じ自分なのだろうか」

〇石河久美子(一文)

『風が強く吹いている』三浦しをん、新潮文庫

前回『俺たちの箱根駅伝』を紹介したが、箱根駅伝を題材にした小説というとまず思い浮かぶのがこの作品。無名の大学のにわか集団のチームが奮起し箱根駅伝の予選を突破し、本選でもシート権を獲得する。あり得ない設定ではあるが、話の展開もテンポよく楽しめる。
チームの中心となるのは、高校時代に将来を嘱望されながら、それぞれの事情で陸上を断念した2人の選手、箱根駅伝に挑むことを通じて信頼関係を築いていく過程や走ることへ魅入られる様子が描かれる。実際の駅伝の部分は、コース各区の特徴もよく捉え疾走感がある。こちらも箱根駅伝の前に再読したい一冊。

『体育会系日本のスポーツ教育が作った特異な世界』小野雄大、中公新書

 著者は体育会系出身の研究者。体育会系という呼び名が1960年代の大学闘争の際、大学が学生を取り締まる実行部隊として体育会の運動部の学生を動員したことに端を発したと知り驚いた。
少子化が進む中、大学側は経営戦略としてスポーツ系の学部開設やスポーツ推薦入学者の増加で学生を獲得し、スポーツで名を挙げようとする。一方、学生側は入学後のスポーツ継続を義務付けられる、学力や学習意欲が不十分、スポーツの世界しか知らないことによる就職やキャリア形成への不安などの問題を抱えたりする。大学スポーツというと爽やかさや清々しさなど光の部分に目が行きがちだが、影の部分も知っておく必要があると感じた。

鈴木伸治(商)

『黄色い家』川上未映子、中央公論新社

前回の『夏物語』に深く考えさせられてとても良かったことや、この本の帯のキャッチコピーにも惹かれて同じ著者の話題作を読むことにしたもの。帯の「孤独な少女の闘いを、圧倒的スピード感と緻密な筆であぶりだす」のとおり、母子家庭で母親らしいことをしてもらったこともなく、中学3年生の夏休みの間には黙って家を出て母親の友人の女性が同居することになるような孤独な少女が、初めて自分の家族のように感じたその女性と高校2年生の時に再会したことから、家出して一緒に生活するようになり、その女性との生活を守るための闘いについて、孤独な少女が感じ考え行なったことを緻密に表現しており興味深く読み進めることができた。ただし、今回も母子家庭の主人公で関係する登場人物もほとんどが女性で、男性は問題が多い人物であり、生活を守るためのお金儲けとはいえ20歳前の少女が犯罪の道に積極的に飛び込んでいくことに大きな違和感を感じずにはいられなかった。

『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』松尾豊、角川EPUB選書

 2022年後半にChatGPTが登場してから生成A Iが急速に普及して、現在ではGeminiやClaudeなど複数のモデルを業務や用途に合わせて実際に使い分けるようになってきている。この生成A Iが実際にはどのようなものなのか理解したいと思い、参考になる本を探していたところ2015年発刊と古いが、日本のA I研究を牽引する第一人者と言われる東京大学の松尾豊教授が最近の生成A Iの出現を予言するような内容の本書を見つけたものです。
内容は、人工知能の開発のこれまでの歴史と、「50年ぶりに訪れたブレークスルーをもたらすかもしれない新技術『ディープラーニング』の意義」であり、この本でディープラ-ニングを理解するのは困難だが、人工知能の発展と内容を理解するのには大変参考になるものであり、興味のある方には是非お勧めしたい。

〇首藤典子(一文)

『チータ・ユーマ: ラフカディオ・ハーン全小説』ラフカディオ・ハーン、河出文庫

NHKの朝ドラ「ばけばけ」のモデルとなった小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが、米でジャーナリストとして活躍し、その文才を認めたハーパー社がハーンを日本へ派遣する前に書き上げた「チータ」「ユーマ」の二作品。
「チータ」
 ニューオリンズ南メキシコ湾のデルニエール島が舞台。島の大惨事で、一人の子供を除いて避暑客も住民も海に没して全滅した。その子供は別の島の漁師に救助され、その家で育ち、後に裕福な親戚が引き取りにきても、育ての親の元を去らなかったという話。
「ユーマ」
 仏領西インド諸島のマルティニーク島が舞台。
 黒人奴隷の乳母ユーマは、白人の主家の為に尽くし、黒人が暴動を起こした際に、黒人の側に付かず、自分が面倒を見ていた白人の娘と共に火を放たれた家で死を選ぶといった忠誠心の持ち主であった。この作品がかなりの力作だと思われるところは、後半の奴隷解放機運が高まった為社会変革が起こるくだりである。自由の身となることを感じ取った黒人達は思いもかけぬ組織の力と秘密裡に蜂起する術を承知しており、もはやこの流れを止めることはできない白人達、わかっていながらどうすることも出来ず、逃げ込んだ家で焼け死んでいく残虐なシーンの描写であり、およそ朝ドラで放映されていた小泉八雲から想像できるものではなかった。また、紀行文のような風景描写が、ヘミングウェイの『河を渡って木立の中へ』(ヴェネチアが舞台)」で描かれている風景描写と似ていると感じるのは、19世紀末~20世紀初頭の頃は、まだ手付かずの自然が多く残り、ゆるゆるとした悠久の時の流れが感じられる空間があったからだろうか。

〇山口伸一(理工)

『真剣師小池重明』団鬼六、幻冬舎アウトロー文庫
1970年代、私の青春時代、日本人の生活は豊かになった。しかし、私を含め多くの人は、その繁栄が永遠に続くとは思っていなかった。どこかで夢は潰え、成功は手のひらからこぼれ落ちる—そんな時代の不安が、松本清張の作品や『あしたのジョー』、当時の映画の結末にも色濃く表れている。その時代精神を一身に体現した人物が小池重明である。将棋界でも屈指の実力を持ちながら、表舞台へ近づくたびに人妻と駆け落ちとか最悪の手段で遠ざかってしまう。破滅的で、社会人として不合格。それでも多くの人に愛された。「将棋界のあしたのジョー」と呼ぶのは大げさかもしれないが、その生き様にはどこか重なるものがある。

露木肇子(法)

『明治のナイチンゲール大関和(ちか)物語』田中ひかる、中公文庫

本書は、朝ドラ「風薫る」の原案である。
朝ドラは、実在の人物をモデルにする場合、実話をかなり削除・改変している。原作を読んで改変部分を見つけるとNHKの意図がみえてきて結構面白い。
今回実話とドラマの主な違いは次の点である。

①主人公2人(大関ちかと鈴木雅)とも士族出身、クリスチャン、シングルマザーで英語堪能。ドラマではちかをモデルとするりんをクリスチャンにせず、雅をモデルとする直美は女郎の子という設定にした。
②ちかの離婚原因は妾の存在。ドラマではそれを出さずDVとした。当時女性を苦しめた女子売買と一夫多妻制。ちかは一夫一婦制を唱え、廃娼運動に取り組むキリスト教に魅かれ入信し、信仰に基づき看護婦の礎を築いていった。朝ドラはこの問題にどう取り組むのか興味津々である。

〇福島碧(社学)

『海風慕情 長崎の豪商・永見徳太郎と銀子』新名規明、弦書房
長崎在住のM氏(1979年卒)に紹介された本。永見銀子女史の生涯。このような一生もあるんだ、という驚きとともに、その夫の永見徳太郎氏については、やはりどうしても、最後は長崎に帰りたかった、それができなくて・・。長崎の街の様子が書かれていて、懐かしかったです。

『三浦按針の謎に迫る~家康を支えたイギリス人臣下の実像~』森良和、フレデリック・クレインス、小川秀樹、玉川大学出版部
こちらも、長崎の1979年卒M氏に紹介された本。共著者の小川秀樹氏は、1979年卒の同期です。三浦按針が、ヨーロッパの大航海時代の一環として、日本へ2年の苦難の末到着した、とのこと。また、知りたかったのは、三浦按針が、なぜそんなに徳川家康に気に入られたのか。三浦按針は、通事や交渉役として活躍するも、決して自分が利益を得ようとしなかった(イギリス商館やオランダ商館に雇われた身分であった)、「お金のにおいのしない人」だったらしい。それが、家康に気に入られたところではないか?と思ったりしました。

『空海の風景 上下』司馬遼太郎、中公文庫
最後の方で、司馬遼太郎氏が、書いていました。「人生の悦楽のひとつは、自分と同じ知的水準のひとびとと常時交わりをもちうることであるとすれば、帰国後の空海におけるこの面での淋しさは、あるいは当然なことであったかもしれない」なるほど、空海は、天皇と話していても、寂しかったのかもしれません。
8年前からはじめた「司馬遼太郎氏 読み尽くし」も、この『空海の風景』で最終となります。(『街道を行く』を除く)少し寂しくなりました。

〇仁多玲子(商)

92歳、好き放題幸せづくし』粟辻早重、KADOKAWA

彼女は、ご主人とデザイン室を共同設立したあと、人形作家としても見いだされ、個展を開きつつ広告も手掛けている。また、最近は、世界のやかんを集めているとのこと。ご主人はお亡くなりになりましたが、一人で大きな家に住んで、老後を楽しんでいる様子が本を読むとよくわかります。例えば、家をパーソナルジムにして、家の中で靴を履いて運動したり、食事も、食べたいものを作って自己管理されている。私からみると、羨ましい限りです。こういう老後を送りたいものです。写真が多く、楽しく読めました。

〇斎藤悟(社学)

 いつも有難う御座居ます。温かく差別なく受け入れて頂き感謝しています。この雰囲気が好きです。皆さん忙しいのに本を読む時間があるのは、優先順位が高く習慣になっているからと思っています。早く読書の時間を持てる様になりたいですが、新聞さえ中々読む時間がない状況です。此の読書会は落ち着きあり格調高く現実から離れられ学びも多い貴重な時間です。東北にも来て下さい。御案内させて頂きます。

〇宮田晶子(政経)

『アンソーシャルディスタンス』金原ひとみ、新潮社

谷崎潤一郎賞を受賞した表題作を含む5つの短編が収められているが、どの主人公も何らかの理由で精神的に追い詰められ、変調をきたしている。その描写が鮮明で自分に届きすぎて、主人公たちの行く末を思うと辛くて、この本を読み続けられるかどうか、途中で不安になったくらい。描かれる内容はとてもヘビィで過激で、自分にはこんなことはなかったし、これからも起こり得ないと思うのだが、どこか共感もしてしまう。金原ひとみの筆力に脱帽。

『棺桶まで歩こう』萬田緑平、幻冬舎新書

今話題の新書。表題から健康術を説く本なのかと思ったら「よく死ぬためには何をすべきか」という内容だと思った。著者は外科医から在宅緩和ケア医に変わり、多くの人の看取りに関わった。病院で点滴などのチューブに繋がれて亡くなるのではなく、家族に囲まれて家で人生を終えるという幸せを手にするにはどうするか、医療との向き合い方を説いた本。筆者のようなお医者様が身近にいればともかく、なかなか難しそう。もう私には看取るべき人はほとんど残っていないが、その前に読んでおきたかったと思う。

〇前田由紀(一文)

『銀河鉄道の父』門井慶喜、講談社文庫

 もうすぐ来る6月の父の日に因んで、宮沢賢治の父親のお話。岩手で裕福で町の名士でもある賢治の父親は、賢治が幼い頃赤痢になったとき、禁止されていたにもかかわらず病院に寝泊まりして看病するほど子煩悩で、賢治の進学にも理解を示し、家業の質屋を継がなくても金銭的援助をし、人生が思うようにいかず葛藤する息子を最後まで陰ながら支えていく。ずっとこの本を読んでいたいような気持ちになり、心を動かされた。利発な妹も賢治には大きな存在であるが、この家族して賢治ありと思わせる。賢治作品がもっと愛おしく感じられるようになった。

『火星の人』アンディ・ウィアー、ハヤカワ文庫SF

 宇宙旅行も夢ではない時代になってきた。最近「プロジェクト・ヘイル・メアリー」という著者原作の映画を観たのをきっかけに、彼の第一作を読んでみた。宇宙飛行士になって火星を探検しているような気分が味わえる。主人公マークは、事故により火星にひとり取り残されてしまう。絶望的な状況だが、彼の全技能と知識を結集して度重なる困難を一歩一歩ずつ「途方もない機略縦横ぶりを発揮して」越えていく。食料も自前でジャガイモ畑を作ってしまう具合だ。楽天的で、ユーモアを忘れないところも魅力だ。                              

                  

*次回は、宮田晶子さん(政経)の司会で、8月28日(金)夏の54ら読書会を予定しています。

2026/06/22ボウリングの集い報告

 6月22日(月)14時より高田馬場
ビッグボックスにて第20回ボウリングの集いが
男性4名、女子6名、計10名で個人戦・
チーム戦で実施されました。

優勝は189、
201ピンと実力を発揮した藤原さんが獲得。


2ゲーム目にハンデ込みで229ピンで追い上げた
岡野が同ピンまで追い上げ2位に。チーム戦は山あり
谷ありの大混戦で僅か1ピン差で、秋田、高橋、
前田さんチームがトップとなりました。
女性陣はレーンに苦しみ右に左に大きく曲がり
ガター地獄にはまっておりました。スコアは41ピン
から201ピンまで大きな差がありますが、ハンデが
0から89までとあるため伯仲した戦いとなっております。


 懇親会は石庫門で藤原さんを除く9名にてワインを5本を
飲み干しすなど大盛り上がりでプライベートな話題まで
語り合いました。
 次回は9月頃を予定しておりますので、初めての方の
ご参加をお待ちしております。

参加者:藤原、岡野、本多、.大和田、秋田、前田、
     高橋、今野、和田、山口(桂)計10名
        担当幹事:岡野勝

2026/05/17第8回ビール会報告

2026/05/17第8回ビール会(まち歩き付き)を開催しました。
「今回の街歩き」
初夏の武蔵野 バラと古刹と鬼太郎の調布
武蔵野台地の南端にあたる台地から、「ハケ」と呼ばれる国分寺崖線の坂(下り坂)を感じて調布まで歩きます。

コース
神代植物公園⇨深大寺「白鳳仏」都内寺院で唯一の国宝指定仏像
⇨神代植物公園水生植物園⇨深大寺城跡
⇨布田天神社「ゲゲゲの鬼太郎の森」⇨天神通り商店街
⇨鬼太郎茶屋⇨ビール会会場


深大寺はそばが有名なので、オプションで街歩き前に深大寺そばを食べました。

深大寺は、いつの間にか若者の人気スポットになっており、門前町にはたくさんのお蕎麦屋さんがありますがいつも大変な賑わいです。
我々は穴場のそば屋で美味しいそばをいただきました。

植物公園のバラ園は最高の見頃を迎えていました。
季節外れの暑さで、ちょっと堪えましたが、雑木林からの爽やかな風が元気をくれます。
坂道を上ったり下ったり、元気な54らはビールへまっしぐらです。
ゲゲゲの鬼太郎を感じる布田天神社にたどり着き、目の前がいよいよビール会会場のジャクソンホールです。

ジャクソンホールでは、各々好みのクラフトビールを注文し、やっと乾杯の時間。
いつもの様に、盛り上がります。

ジャクソンホールは、我々の年代はNANAには興味がないのでただただクラフトビールを楽しみますが、NANAファンには特別な空間らしく、若い子がとにかくたくさん写真を撮っています。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、調布駅で解散しました。

さて、次回ですが、10月4日(日)を予定しています。

次回も気持ちの良い季節だと思います。
皆さま、お楽しみに!

文責 益田 聡(理工)
参加者(50音順、敬称略)
系野、向坂、今野、篠原、高橋、種村、露木、福島
益田聡、益田あけみ

2026/04/28ボウリングの集い報告

参加者は男子4名、女子3名の計7名
で2ゲームの個人戦とチーム戦を実施致しました。


優勝は2ゲーム目でワンミス、ターキーで200ピンと爆発した
秋田さんがぶっちぎりとなり、ミラクルボールを駆使
しハンデを活かした本多さんが準優勝となりました。
今後、男性の奮起が期待されます。懇親会は近くの居酒屋
清龍で行い大いに盛り上がりました。

優勝者の弁:今日は出来すぎのスコアで優勝することが出来
自分でもビックリです。皆様の一投一投で盛り上がり、とても楽しい
時間を過ごすことが出来ました。懇親会も楽しかったです。

担当幹事:岡野勝(理工)

2026/02/27読書会報告

24回冬のオンライン54ら読書会 2026.2.27

【参加者】

篠原泰司(一文)、村山豊(法)、石河久美子(一文)、福島碧(社学)、
沖宏志(理工)、露木肇子(法)、首藤典子(一文)、鈴木伸治(商)、
仁多玲子(商)、前田由紀(一文)、宮田晶子(政経)

(以上11名、発表順、敬称略)

 第24回は常連の皆さんに加え、久しぶりの参加者も加わった。今回紹介された本は、駅伝がテーマの小説、ワセジョが主人公の小説など、54ら会ならではと感じる本が多かった。また途中でオーディブルや墓仕舞いの話でひとしきり。少子高齢化や核家族化が進む中、お墓の継承問題は私たちの世代にはかなり切迫した問題。本の話ではないけれど、こうした話題が交わされるのも、この読書会の良いところだと思う。(発表順、文体は常体に統一)
なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

〇篠原泰司(一文)

『カフェーの帰り道』島津輝、東京創元社

第174回直木賞受賞作。

東京・上野のカフェーで女給として働いた、とある女性たちの百年ぐらい前のお話。

小さな物語が集まった短編集かと思ったがそうではなかった。初めのうちは個々に語られていた登場人物たちが互いにからみあって人生を紡いでゆく語り口に引き込まれる。終わりに近づくほど面白くなる不思議な小説だった。昭和初期から戦後にかけて生きた女性の人生を生々しく感じて読めたのも新鮮だった。

『狼の義』林新・堀川惠子、角川ソフィア文庫

「暁の宇品」などを書いたノンフィクション作家の堀川惠子氏がNHKプロデューサーであった林新氏の遺志を引き継ぎ完成させたノンフィクション系小説。(ちなみに林新氏は堀川惠子氏の夫であり2017年に亡くなっている)

五・一五事件で暗殺された犬養毅の伝記なのだが、いままでほとんど語られてこなかった古島一雄という人物を強力な補助輪として登場させることによって、今までにない深みのある面白い小説になっている。ちなみに、なぜノンフィクションではなく小説という形で書いたのか?「複雑でとっつきにくいこの時代をよりわかりやすく描くため」(あとがきより)ということだ。

〇村山豊(法)

『国宝上下』吉田修一、朝日文庫映画が空前のロングランとなった「国宝」上下を紹介した。

侠客の息子から歌舞伎役者に弟子入りし異例の抜擢を受け遂に人間国宝になった喜久雄。梨園の御曹司として何不自由なく育った俊介。二人の愛憎と切磋琢磨ストーリーもさることながら、日本の誇る舞台芸術「歌舞伎」界の本質を学べる小説。

映画を先行して観るべきか? 本を先に読むべきか?結論など出るわけはないが、問題提起をさせていただいた。

ちなみに国宝については、私の場合諸事情により以下となった次第。

映画⇨本(紙)⇨映画⇨本(Kindle)

〇石河久美子(一文)

『俺たちの箱根駅伝 上下』 池井戸潤、文藝春秋

箱根駅伝に大学として出場することが叶わなかった選手たちの混合部隊である関東学生連合チームが、様々な葛藤を経て奮起、記録も順位も正式には残らないが、実質上位に食い込む感動スポーツエンターテイメント小説。

各区間の特徴、そこを走る学生たちの背景や駅伝への思い、テレビ中継の仕組みが同時進行で明らかになり躍動感溢れる構成で読む側を楽しませる。箱根駅伝の前に再読したい。

『翠雨の人』 伊予原新、新潮社

女性科学者の草分け、猿橋勝子の人生と研究を題材としたフィクション。女性が高等教育を受けるのが困難な時代に理系の学問に魅せられ、戦時下の困難を潜り抜け、放射能に汚染された海水の放射線濃度測定の実験と研究に没頭する。その業績が評価され単身渡米、アメリカの研究者と測定の精度を競い、劣悪な研究環境にも関わらず圧勝する場面は読みごたえがある。ただ、猿橋を尊敬して止まない一方、独身の女性研究者に対する作者の固定観念が垣間見られ違和感を覚えた。

〇福島碧(社学)

『故郷忘じがたく候』 司馬遼太郎、文春文庫

4月の54ら游学の折、少し足をのばし、近くのお城を訪ねてみようかと、『肥前名護屋城の人々 佐賀新聞社編集局編』を読んだ。そこには、秀吉の朝鮮出兵の折、朝鮮から多くの陶磁工が連れてこられ、その子孫が九州で日本の陶磁器文化を発展させたことが記されていた。『故郷忘じがたく候』は、その陶工の子孫で日本の大学教授の話。戦前の日本による韓国統治の36年間だけでなく、そのずっと前の秀吉による朝鮮出兵から370年、その370年前のことが、もしかしたらまだ韓国の方の怨念の背景にあるのでは?と思ったりした。

『爆心』 青来(せいらい)有一、文春文庫

長崎の過酷な歴史~遥か昔には、秀吉の時代のキリシタン殉教、また、終戦間際には、原爆投下という歴史をみる時、その後、長崎の方は、どんなことを思い、考えているのかを知りたいと思った。「死者との対話」という、当方には日頃ない命題に向かわざるをえない本だ。

 (著者の青来氏は、長崎大卒の長崎在住公務員、芥川賞作家)

〇沖宏志(理工)

『墓じまい』吉川美津子 WAVE出版

長年の懸念事項だった『墓じまい』を実施する際に、読んだ本。

遺骨処理の問題がある場合は、単なる石屋ではダメで、Total Solutionを提供してくれるところを探す必要がある。請け負ってくれるところで値段もかなり違うし、自治体の対応もおそらく地方によってかなり違う。墓じまいは先送りは容易だが、インフレの時代においては、キャッシュの逃げ場としてもいいのではないか?

〇露木肇子(法)

『嘆きの美女』柚木麻子、朝日文庫

 いまや国外でも話題の『Butter』の著者が、それより6年前に出した、マンガチックな小説である。「ジャイコ」のあだ名で性格も容貌も問題ありのヒロインがひょんなことから自分がネット攻撃をしてきた美女達の住む豪邸に同居することになる。そこで美女なりの悩みを知ったり、感化を受けたりしながら成長していくお話。容貌差別をあえてテーマにして、コンプレックスに悩む女性達に自信をもたせてくれるストーリーで、面白さは保証する。

『早稲女、女、男』柚木麻子、祥伝社文庫

 『嘆きの美女』の翌年に出た、これまたコミカルな小説である。このタイトルは「早稲女」は女でも男でもなく、「第三の性」という意味とのことである。

物語はたわいもないが、登場人物がすごい。主人公はワセジョ、親友は立教、恋敵はポン女、妹は学習院、コクられた男の元カノは慶應、旅仲間は青学で、それぞれ大学のイメージ通りのキャラクターだ。早稲田の男性も数人出てくるが、いずれもイメージ通り。ヒロインは自意識過剰で不器用で面倒臭いのだが実はとても魅力的で、早稲田讃歌となっている。因みに著者は立教卒である。

〇首藤典子(一文)

『ロッキード』 真山 仁、文春文庫

元は新聞記者だったので、渾身の力を振り絞って取材に取り組んだのだろうなと思える程の緻密さが表れている。多方面から取材し、都度仮説をたて、田中角栄逮捕には決定づけるだけの証拠がないのではないかと推測している。いづれにしても、関係した人達も多くが故人となっており、一度下った判決を覆すことは容易ではない。それより、徹底した取材を見て欲しいという作品だったのかなと思う。

『タングル』 真山 仁小学館文庫

 シンガポールの夜景が表紙になっており、折しも昨年末に行ったばかりだったので手に取ってみたが、大きく様変わりしたシンガポールを舞台に繰り広げられるコンピューターの開発競争を巡って国と国との策謀、投資してくれる先をどう選ぶか、また選ぶことにより、想定されるリスクに考えを巡らせるところなど、めまぐるしく展開する話にすっかり取り込まれてしまい、あたかも現実に起こっているのではないかと(実際そうなのかもしれないが)いう気にさせられ、ドラマを見ているようで実におもしろかった。

〇鈴木伸治(商)

『夏物語』川上 未映子 文春文庫

ヴァージニア・ウルフ著「ダロウェイ夫人」で内容に戸惑ったことから、最近の女性作家の作品を読んでみようと、ノーベル文学賞作家ハン・ガン著「菜食主義者」「すべての、白いものたちの」に続き、「米T I M E誌ベスト10」「米ニューヨーク・タイムズ必読100冊」などの帯に惹かれて読んだもの。

本日読み終わったところでの率直な感想は、海外でも高く評価されているように深く考えさせてくれる小説で、個人的には男性にお勧めしたい。女性の世界であること、特に第二部の後半から、子供を産むことの意味や責任に関わるあたりから強く引き込まれ、具体的には出てこないが、男性の責任そして生まれたことの意味に想いを馳せることになるのではないかと。

第一部は、東京に住む主人公の家に姉とその12歳の娘が宿泊することから、その生い立ちや現在の生活、そして姉やその娘との関わりや想い・感情が「意識の流れ」に沿って率直に綴られる。仕事を持たず家出をした父のため、母と姉と共に祖母の家に夜逃げし、間も無く母と祖母が相次いで亡くなったことからの極貧の生活やそれでも姉の助けで前向きに生きてきたことや、姉の上京が豊胸手術のためであったことなどである。

そしてもう一人の主人公として12歳の姉の娘の手記に、初潮を迎えることや子供を持つことへの戸惑いや疑念が綴られる。姉が離婚して苦労して娘を育てていることを身に沁みて実感しているからだ。

この小説は女性の世界が描かれていて男性は出てこないばかりか、貧しさや苦労などの原因となっている。

第二部は、その8年後、主人公が38歳の時、「このままひとりでいい」のだが「会わんでええんか・・・わたしの子どもに」の思いに直面する。セックスが苦痛で恋人と別れており、そんなことは起こらないのだと納得しているのに。

そして、そのような自分でも可能な精子提供(A I D)によって生まれた人達との出会いと交流からある選択をすることになる。

〇仁多玲子(商)

毎回、皆さんの本の紹介が楽しみです。

日頃、あまり本に接触する機会がないので、皆さんの紹介する本が新鮮です。

これからも、よろしくお願いします。

〇前田由紀(一文)

『その糸を文字と成し』高野知宙、河出書房新社

明治初期、養蚕で働く若き奉公人が、自由民権運動に影響を受けて、文字を読むようになり自立していくお話。夜皆が寝静まった後に人目を避けて、学問会に参加し勉学に励む光景が目に浮かぶ。受験雑誌で「蛍雪時代」いうのがあったが、まさにその蛍雪の姿である。民権に揺れ動く主人公の心情がよく理解でき、古文調の文体も好ましい。当時の自由民権運動の様子、あきる野市で起草された民間の私擬憲法「五日市憲法」の草案、困窮農民の武装蜂起の「秩父事件」等が巧みに描かれている。

映画「One Battle After Another」ポール・トーマス・アンダーソン監督、ワーナー・ブラ

ザーズ(アメリカ)

収容されている不法移民を救出し革命を目指すテロリストが主人公。活動が失敗に終わり落ちぶれて隠遁生活をするが娘が狙われて次から次に逃走劇が続く。アクション映画だが、アメリカ社会の裏側が垣間見えることがこの映画の魅力である。不法移民や人種差別、格差社会が社会構造上終わりない真実として提示される。レオナルド・ディカプリオ演じる主人公はどうしようもないダメ親父だが、そんな暗澹たる現実の中でたくましく生きていく人々がいる。出し紹介している。原文が英語のせいか率直に述べられているところに好感をもった。

                                      

〇宮田晶子(政経)

『ナチュラルボーンチキン』金原ひとみ、河出書房新社

 『蛇にピアス』の芥川賞受賞で注目を集めた金原ひとみ。テレビ東京の『カンブリア宮殿』の新MCに就任と聞き、意外な人選で驚いたが、その就任コメントがとても面白く秀逸だったので、小説も読んでみることにした(何となく金原ひとみには手を伸ばしていなくて)。

 主人公は出版社の労務課に勤める、45歳の女性。仕事と動画とご飯というルーティンを繰り返す毎日を送っているが、とあることで会社の女性編集者の家を訪ねたことから新しい人生が回りだす。主人公のこれまでの人生を明かしながら、エンディングのちょっと想像の斜め上をいく結末に持って行っている。金原さんはこの物語を「中年版『君たちはどう生きるか』」だと言っているが、私には、「人生って色々なことがある。そして、ふとしたことで人生は変わる」という応援歌に感じた。こうくるかという驚きと共に、とても清々しい小説。(これがきっかけで他の金原ひとみも読み始めた)。                          

*次回は、前田由紀さん(一文)の司会で、5月29日(金)春の54ら読書会を予定しています。

2026/4/7~8 54らIN長崎報告

長崎企画のコーディネーターの村山信一郎さんが、長崎案内のパンフレットを作ってくださいました。今回限りとするにはもったいないので、長崎訪問を計画される時の参考にしてください。[長崎54ら会のための小冊子]

2024年秋の大阪、2025年8月の松山に続いて、2026年4月に54ら会「港町長崎游学」と銘打ったイベントに23人という多数が参加して開催されました。平和公園や出島などの昔から定番の訪問先はもちろんですが、やはり禁教・弾圧や潜伏キリシタン関連遺産と、造船・炭鉱や旧グラバー亭等の近代産業遺産という二つの世界文化遺産があり、また後者の軍艦島(端島)を舞台にした「海に眠るダイヤモンド」という話題になったテレビドラマの影響があったかも知れません。さらに最近ではNYタイムズの「2026年に行くべき52か所」に選ばれたことのインパクトもあったことでしょう。

初日4月7日はお昼に市内中華街の宿泊ホテル(JALシティ長崎)のロビーに集合し、まずブリーフィング。そのあと、都内勤務の後に長崎へUターンされた現地コーディネーター村山信一郎さんの案内で、さっそく市電でスタジアムシティ長崎(ピーススタジアム)へ。地元の有名企業の肝いりでJリーグのサッカーチームのホームスタジアムとしてJR長崎駅のすぐそばに造られた施設ですが、日本中の注目を集めているのは、それが常時オープンしているレストラン街のみならず、ホテルやオフィスビルも併設して、「サッカー専用スタジアム」の概念を根底から覆したから。参加者はそれぞれお好みのお店で爽快な緑のピッチを見下ろしながら、まずは長崎の味を軽く味わいました。

その後、全員が徒歩でオランダ坂を上り東山手、次いで南山手の居留地エリアを散策、さらにグラバー園を順に歩いて回りました。グラバー園以降はA・Bの二コースに分かれ、Aコースの私は大浦天主堂・キリシタン博物館をじっくりと見ることが出来ました。夕食は桃源洞という料亭で海の幸を中心に美味しいお料理を堪能しました。

私は54ら会のまったくの新顔で初参加でしたが、楽しい宴席で気づいたのは、意外と女性が多かったこと(学部横断だから?)、もう誰も名刺等を交換する姿を見なかったこと、出身県や高校のことが大きな話題になっていたこと(大学同窓会だから当然か)、そして皆が元気かつお喋りで、なにより全員お酒が好きだったこと等々でしょうか。何人かは(私も)青春時代のように、さらにホテルの部屋飲みにも参加しました。もっとも他方で、昔より弱まった足腰や夜間頻尿のこと等も話題にはなっていましたが・・・(笑)。

翌8日は長崎観光組(軍艦島観光組を含む)とゴルフ組に分かれ、それぞれ長崎の観光をさらに楽しみました。私は「海に眠るダイヤモンド」にハマってはいましたが、軍艦島が観光可能になってすぐに行ったことがあるので、一般の観光コースを選びました。その観光組は、午前中、出島の復元オランダ商館をじっくり見て、昼前からは出島ワーフで港を見ながらのゆったりとした昼食タイム、午後の散策に出かける前には、長崎町家造りの高田酒店という老舗のお店で角打ち(一人二杯まで)、店主からは長崎くんち「鯱太鼓」のユーチューブを、そして村山コーディネーターからはさだまさしさんの最も長崎情緒溢れる「紫陽花の詩(うた)」を聴かせていただき、午後の散策に向けて気持ちを高めました(笑)。

午後は有名な眼鏡橋をはじめとした石橋群を散策、おやつの時間には、松翁軒「セヴィリヤ」で有名なミルクセーキを楽しみ、それからさらに徒歩でサン・ドミンゴ教会跡資料館、そして長崎奉行所跡(長崎歴史博物館)を訪ねました。夕刻までの時間を使って長崎駅至近の二十六聖人記念館を訪問した方もいたようです。私は長崎には懐かしい知人が数名いるため失礼しましたが、夕食は「割烹さくらい」という料亭で宴席が催されました。

参加者の日頃の行いが良かったためか、両日とも快晴に恵まれ、とりわけ二日目のゴルフ組と軍艦島ツアーの参加者にとっては絶好の天候となりました(なお三日目からは雨)。

翌朝、解散となりましたが、何人かの方は先乗り前泊または居残り後泊で、島原半島(原城)や佐賀の武雄・嬉野温泉、あるいは唐津や名護屋城跡(もちろん大隈重信記念館も)まで足を伸ばした方もいたようです。私もライフワークで江戸初期前後の日欧関係を調べている手前、先乗りで熊本南端の人吉城へ行き(ユダヤの沐浴場とも言われる地下遺構がある)、後泊で出島以前に蘭・英両国の商館があった平戸と、さらにその沖合の、隠れキリシタンで有名な生月島へ行ってきました。

初めてお会いする54らの皆さんはとても楽しくパワフルな仲間でした。日本全国54らの旅は今後も続きます。本年11月には神戸(有馬温泉)で行われる予定で、多くの方のご参加、お待ちします。(小川秀樹 記)

参加者:岡野勝 小川秀樹 奥田智 小山田薫 梶田あずさ 門倉一雄
岸本忠生 小林章子 今野玲子 櫻井直子 茂原淳一 首藤典子
住吉環 中村敏昭 西治樹 番平均 日比野悦久 平野伸一 福島みどり
藤本富通 益田聡 益田あけみ

長崎コーディネーター:村山信一郎

2026/02/20第7回ビール会報告

2月20日、第7回ビール会(まち歩き付き)を開催しました。
テーマは「重要文化財でビールを飲もう」
自由学園明日館では恒例の2月第3金曜日に、「COEDOビールと暖炉を楽しむ夜」が開催されます。
夜間見学にあわせてCOEDOビールがやってきます。
また暖炉はこの冬最後の点火です。
このイベントにあわせて、ビール会を開催しました。


目白駅で集合し、目白聖公会教会、日本バプテストキリスト教目白ヶ丘教会、徳川黎明会などを巡り明日館に到着。
目白エリアの歴史や文化的背景に触れる楽しい街歩きでした。
明日館は木造の重要文化財で、暖炉の暖かさを感じながらビールを飲めるスペシャルな機会を皆で味わうことができました。

<教室がビアホールに>

その後、お腹を満たすため二次会へ移動。
特別な空間でのビールの感想で盛り上がりました。

さて、次回ですが、5月17日(日)を予定しています。
気持ちの良い季節だと思います。
皆さま、お楽しみに!
      文責 益田 聡(理工)
参加者(50音順、敬称略)
奥田、向坂、小林、今野、篠原、高橋、種村、日比野、
福島、宮田、山口、益田聡、益田あけみ

2026/01/22第18回ボウリングの集い報告

1月22日(木)に第18回ボウリングの集いが
ビッグボックス8F高田馬場グランドボウルにて
男子4名、女子3名の計7名で開催されましたので
ご報告させていただきます。

 優勝は、前回最下位に沈んだ高橋さんが練習を
積み重ねてきた結果、安定した投球で雪辱を果たしました。
藤原さんは197、184ピンと実力を発揮しましたが
ハンディがきつく準優勝に留まりました。


 この会はハンデ戦で個人とチームで争いますが、
チーム戦は秋田、大和田、高橋チームが1035ピン
岡野、藤原、本多チームが1034ピンと僅か1ピン差
という大熱戦でした。適切なハンデ設定により全員に
優勝のチャンスがあります。
 その後、大和田さんを除く6名で石顧問にて
餃子を食し懇親を深めました。

参加者:大和田秀二、高橋正明、藤原雅博、
 秋田美津子、本多早苗、和田真美、岡野勝

 以上宜しくお願い致します。

                    幹事(理工) 岡野勝

2026/01/11新年会報告

1月11日(日)午後、新春セミナー&新年会を染谷記念レセプションルームで開催しました。TKB54らシンガーズによる校歌斉唱のオープニングに始まり、第1部は、長年うぐいす嬢として活躍している米山敦子さん(商学部)を招いての新春対談、第2部の新年会を34名の54らの仲間で和やかに楽しみました。

新春対談のテーマは、「カリスマうぐいす嬢がみた選挙の裏側」です。

米山さんは、アナウンス研究会に所属していた学生時代からうぐいす嬢を始め、その後数々の有名政治家のうぐいす嬢を務め現在に至っています。
まずは選挙遊説のデモンストレーションで始まり、会場はグッとひきつけられました。そして対談では、選挙の費用や報酬、困ったことややりがい、遊説のポイントと成果、選挙運動の裏事情等々、興味深い話を聞かせてくれました。

新年会は、平野会長の挨拶・乾杯に始まり、9名の新顔の方々の自己紹介、TKB54らシンガーズのミニコンサート(心の瞳・鉄腕アトム・早稲田の栄光)、恒例のじゃんけん大会で盛り上がり、54ら会のテーマソング「早稲田スピリッツはここにあるから」を全員で歌い(TKB54ダンサーズ演舞付)、締めは校歌斉唱。
予定した2時間の初春の宴があっという間に過ぎたひと時でした。

2025/11/28秋の読書会報告

23回秋のオンライン54ら読書会                        2025.11.28

【参加者】

篠原泰司(一文)、福島碧(社学)、山口伸一(理工)、
石河久美子(一文)、沖宏志(理工)、露木肇子(法)、
鈴木伸治(商)、首藤典子(一文)、仁多玲子(商)、
宮田晶子(政経)、前田由紀(一文)   
  (以上11名、発表順、敬称略)

 山本周五郎受賞作で、早大出身の堺雅人主演で最近映画化された作品から始まり、ロスチャイルド家の伝記、司馬遼太郎作品、哲学的陸上アニメ、早大出身三浦しをん作の辞書編纂物語、新技術マインドアップローディング、高市発言で物議となっている安保法制、ユダヤ人の歴史、ノーベル文学賞受賞の韓国作家作品、夏目漱石三作品、大人向けチェコ絵本、「ばけばけ」で話題の小泉八雲と岡倉天心の日本文化論と今回も多彩な本が揃い、興味が尽きない読書の秋にふさわしい一日となった。 

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。 

        
(発表順、文体は常体に統一)

〇篠原泰司(一文)

『平場の月』 朝倉かすみ 光文社文庫

作者は北海道出身の小説家。たまたま埼玉県朝霞市に住む機会があり、この小説を書いた。2019年の山本周五郎賞受賞。17万部以上の売り上げがありベストセラーになった。内容は悲恋のストーリーなのだが、まず、描かれる相続、葬式、法事など年齢を重ねると経験せざるをえない各種の行事の実感あふれるリアルな描写には感心させられた。50過ぎになって地元に帰ってきた二人の主人公の人生経路は普通の人間が経験しえないことなのだが、特に須藤葉子の場合はこれだけで別の小説が書けそうな話なのだが、そういう特別な事柄をも乗り越えて読む者にある種の悔恨の気持ちを共有させてしまう。過ぎ去ってしまった自分の過去への哀惜の念と取り返せない悔恨の情を読者に抱かせてしまう。これがこの小説の眼目なのだと思った。小説の舞台は私が住む朝霞台の周辺であり実名ではあまり出てこないが、居酒屋、花屋、スーパー、コンビニになどが、まさにそのままで出てくる。

映画「平場の月」

封切りの11月14日に鑑賞した。小説を読んだ後で、正直、須藤葉子を映像で表現するのは難しいと思っていた。しかし、映画監督、脚本家のおかげで陳腐で説明不足になりそうな部分は何とか乗り越えられているし、堺雅人や井川遥の演技力と、その演技にかける情熱に感動する部分があった。小説に出てこない人物や設定がある。特に薬師丸ひろ子の唄と塩見三省に注目だ。というわけで、映画の方も小説とは違った味わいの深い良いものになっていると思った。なお、原作に出てくる朝霞台中央総合病院はTМGという近代的な病院になっているので、ロケ地も朝霞台南口ではなく、北朝霞駅周辺になっている。ロケ地は90%が朝霞。残りが志木市と狭山市だろう。近いうちにもう一度鑑賞しに行く予定だ。

〇福島碧(社学)

『赤い楯ロスチャイルドの謎(I~4)』広瀬隆、集英社文庫今年の6月、家族で南仏のロスチャイルド邸を訪れることになり、その前にロスチャイルド家を知ろうと、読み始めた。この本を読むと、世界は、このようにできているのか・・
目からウロコというか、考え方が180°変わり、例えば海外のニュースの見方が変わる。
著者の広瀬隆氏は、早稲田大学卒の先輩である。

『花神(上中下)』司馬遼太郎、新潮文庫

寡黙にして判断に狂いはない・・司馬遼太郎氏は、こういった主人公・軍神・大村益次郎が好きなんだろうな、と思う。同じく氏の著書『鬼謀の人』、『王城の護衛者』は、この『花神』を書く前の下書きの短編かと思われる。『鬼謀の人』には、シーボルトの娘イネは、まだ出てこない。 8月54ら会で松山へ行った折り、少し足を伸ばして益次郎のいた宇和島城まで行った。宇和島の天守閣からは、益次郎が軍艦を設計して建造し、浮かべたという港がよく見えて、感激した。

〇山口伸一(理工)

映画『ひゃくえむ。』魚豊原作

今年、「国宝」よりも強く推すのがアニメ『ひゃくえむ。』。「ち。」の作者、魚豊氏が21歳で描いた漫画が原作。100m走に人生を賭ける男たちを描きながら、問うのはただ一つ、「なぜ走るのか」。家族や恋愛、記録といった周辺要素を潔く削ぎ落とし、走る行為を掘り下げてゆく。主人公を取り巻くライバルたちの哲学的な台詞が要所を締め、とりわけ「現実を真正面で捉えないと現実逃避は出来ない」は、自己欺瞞を断つ至言として胸に残った。

〇石河久美子(一文)

『舟を編む』三浦しをん、光文社文庫

10年ほど前に本屋大賞を取ったベストセラー小説。最近この原作を土台にした令和版「舟を編む」がNHKドラマになり、それが大変面白かったので、改めて原作を読むことにした。コミュニケーション能力に乏しいオタクの青年が、辞書を作ることに魅せられ10数年かけて辞書を完成させていく過程が、自身の成長とともに描かれる。軽いタッチの文体ではあるが、想像を絶するような労力と根気、言葉への感性が必要とされる辞書作りの背景、そのような作業を経て編纂される辞書の凄さが伝わってくる。普段何気なく使っている言葉について、改めて考えさせられる書。

ドラマ版「舟を編む」NHK

ドラマでは、ファッション誌の担当だった言葉に無頓着な若い女性が主人公。最初はいやいやだが、辞書を作る過程で言葉の大切さに気付き、辞書作りに夢中になっていく。デジタル化が進む中、紙の辞書を作る意義は何か。言葉は定義の仕方によっては、偏見を助長するリスクもある、時代によって言葉の定義は変わっていく、言葉は使い方によって人を傷つけることもあるが、癒す力もあるといったことが、具体的なエピソードを通して示される。言葉にまつわる示唆に富んだ内容のドラマ。NHKオンデマンドで視聴可能。

〇沖宏志(理工)

『意識はどこからやってくるのか』信原幸弘、渡辺正峰、ハヤカワ新書マインドアップローディングという新技術でバイオ的身体を仮想空間にアップロードして永遠に生きるということを現実化したいということに本気で取り組んでいる渡辺正峰さんという神経学者が実におもしろい。意識の問題を考えるとき、今のところ哲学は圧倒的に科学より先行しているとか。

〇露木肇子(法)

『検証安保法制10年目の真実 「仙台高裁判決」の読み方』長谷部恭男、棚橋桂介、豊秀一、朝日新書

 2014年7月、集団的自衛権を認める閣議決定が出て、これを違憲として全国で25件の訴訟が起こされた。2023年12月5日、仙台高裁が初めて憲法判断をした。結果は合憲判決だったが、小林久起裁判長は、早大の長谷部恭男教授の30分以上の証人尋問を経てこの結論に至った。

 裁判長は翌年4月20日致死性不整脈で急逝した。この裁判長は司法研修所同期の友人だった。彼の長谷部教授への問いかけからは、彼の真意が伝わってきて、これが単なる合憲判決ではないことが明らかとなってくる。

 この判決には、司法が示す「存立危機事態」とは何かが明記されているが、当事者双方から上告されることなく確定し、憲法判例100選に選ばれるに至っている。

『ユダヤ人の歴史古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』鶴見太郎、
中公新書 

本著はユダヤ人3000年の歴史を新書1冊に詰め込んだ、深く重たい本である。
紀元前にはダビデやソロモンによる栄華を極めた王国もあったようだが、キリスト教が趨勢となる中、ユダヤ人は五大陸を流浪し、壮絶な迫害を受けながらも建国に至り、さらに拡大を謀る。なぜそこまで嫌われるのか、なぜここまで虐殺できるのか、なぜ性差別の慣習の中でギンズバーグのような革新的な女性裁判官が生まれたのか、数々の謎を解き明かしてくれる「目から鱗」本だ。

〇鈴木伸治(商)

『菜食主義者 新しい韓国の文学01』ハン・ガン(韓江)、きむふな訳、クオン(2011)
2024年のノーベル文学賞を受賞した韓国の作家ハン・ガンが、韓国で最も権威のある文学賞「文学賞」とアジア初のイギリスのマン・ブッカー国際賞を受賞した作品である。これまでいわゆる純文学は、ノルウェー・ブック・クラブが2002年に選定した
「The top 100 books of all time」https://www.theguardian.com/world/2002/may/08/books.booksnews

から概ね時代順に読んできており、近年、女性作家の『高慢と偏見』(ジェーン・オースティン)、『嵐が丘』(エミリ・ブロンテ)、『ミドルマーチ』(ジョージ・エリオット)は恋愛や女性の生き方など興味深く読むことができたのだが、『ダロウェイ夫人』(ヴァージニア・ウルフ)は女性の日常と戦争後遺症のある帰還兵の自殺で内容的に理解し難く戸惑うことに。
これは、女性作家の作品をほとんど読んでこなかったためかと思い、まずは近年話題になった年齢的にも近い女性作家の作品を探していたところ、たまたま本屋で見かけたことから購入した。
一読してその内容は「極端・過激・奇抜」であり、かつて観た韓国映画「オールド・ボ―イ」に近い印象で、最初に読む本としてはお勧めできない。続いて読んだ『すべての、白いものたちの』をまずは読むことをお勧めしたい。その上で本書を読むと戸惑いが軽減されて読めるのではないかと。

『すべての、白いものたちの』ハン・ガン、斎藤真理子訳、河出文庫(2023年)

平野啓一郎が解説しているように「小説というより連作散文詩といった趣」が強く、私は詩人でもあるハン・ガンの詩集として読み進めた。内容は、表題のとおり白いものたちを題材に、自己と母、早世した姉、ソウルと執筆中に滞在したワルシャワでの出来事について、女性独自の視点で鋭敏な感受性で感じたままを繊細に掬い取って表現したものになっているように感じた。

〇首藤典子(一文)

『こころ』夏目漱石、新潮文庫

何気無く手に取った三冊が、いずれも男女の三角関係を綴った作品であったことに驚く。『こころ』では、主人公の書生が先生と慕う人物の遺書と思われる長い手紙を受け取り、読み終わるやいなや、危篤状態の父親を親族に託し、先生の元に急ぎ汽車に乗るといったドラマ仕立て。先生と縁談があった女性に親友から好意があると告げられ、その告白後に女性の母親と縁談を決めてしまった先生。それを知った親友は頸動脈を切り自殺する。女性はその事情を知らないまま、結婚生活は続いていくも、先生はその悔恨から逃れることが出来ず、苦しい胸の内を吐露した文を書き綴り書生に送り、自殺すると告げる。汽車に乗った書生は、果たして先生の最後に間に合うのだろうか。


『それから』夏目漱石、新潮文庫

親の支援を受け、働かずに進められる縁談をのらりくらりとやり過ごしながら暮らしている主人公。結婚した友人が失職し、生活費を借りに来たその細君を不憫に思い頻繁に会うようになる。会うにつれて親友の彼女に対する愛情が欠けていると思うようになり、代わって自分がその細君の面倒をみると親友に告げる。面子を潰された友人は、主人公の父親にその顛末を手紙で伝えたことから、怒った父親が支援を打ち切り、兄弟からも絶縁され、主人公は全てを失うという話。


『門』夏目漱石、新潮文庫

親友の妻と駆け落ちをしたという過ちが、元夫の前途を傷つけたことに自分達も痛く応えており、人目を避けてひっそり暮らしている。文中では、「一生を暗く彩った関係は二人の影を薄くして、幽霊のような思いを抱かしめた。」とある。ある日、借家の大家の弟が蒙古で牧畜をしたり、冒険者のような暮らしをしていて、その弟に同行している者が妻の元夫と知る。大家の家に滞在するので一緒に食事でもと誘いを受け、会えるはずもない相手に鉢合わせすることに怯え始める。どうにかしてこの状況から逃れでたいと、しばらく座禅を組んで頭を休めようと鎌倉の禅寺へ向かう。その不在の間に蒙古へ帰って行った大家の弟と元夫。「彼の頭を掠めんとした雨雲は、辛うじて、頭に触れずに過ぎたらしかった。けれども、これに似た不安はこれから先何度でも、色々な程度において、繰り返さなければ済まないような虫の知らせがどこかにあった。」と今後を暗示する文が文豪漱石所以の表現だろうか。

〇仁多玲子(商)

毎回、オンラインで実施される読書会。オンラインで実施するから、今のメンバーが集まるのではないでしょうか。いろいろな地域の方が参加されています。それが、今の読書会の特徴になっていると思います。私も、夜、対面で実施されるのなら、多分参加しないと思います。オンラインだからこそ、家でパソコンを開いて、ゆっくり、皆さんの本の紹介を聞いています。それが、一つの楽しみになっています。これからも、ずっとこの会が存続することを願います。幹事の方、よろしくお願いします。

〇宮田晶子(政経)

『三つの金の鍵魔法のプラハ』ピーター・シス、柴田元幸訳、BL出版

作者のピーター・シスはチェコ生まれで、ロス五輪に関連する仕事で渡米。しかしロス五輪への東欧諸国のボイコットで帰国命令が出され、それに反発してアメリカに留まった。アメリカで結婚して生まれた子どものために、故郷のプラハを伝えるためにこの本を制作した。気球に運ばれて生まれ育った街に戻った「ぼく」は、生まれ育った家に入るために三つの金の鍵を探さなければならない。黒猫に導かれて街を彷徨い、さまざまな場所で鍵と巻紙を受け取る。巻紙には、プラハにまつわる3つの伝説が書かれており「ぼく」は鍵を手に入れて無事に家に入ることができた。ピーター・シスの絵は幻想的で、魔法の街と言われるプラハの雰囲気を暗めのタッチで表現する。3つの伝説も興味深い。プラハを訪ねてみたくなる。

『ピーター・シスの闇と夢』ピーター・シス、柴田元幸、赤塚若樹ほか、国書刊行会

数年前にピーター・シスの「ピーター・シスの闇と夢」という展覧会が日本で開催され、それをきっかけに制作された本のようだ。ピーター・シスのイラストや絵本原画が解説とともに紹介されている。シスの幻想的な絵がたくさん見られるのも楽しいが、翻訳者の柴田さんとの対談も面白かった。シスの背景にある、抑圧された東欧での生活があったからこその自由を守ることのメッセージなど興味深かった。

〇前田由紀(一文)

NHK100分で名著」ブックス 小泉八雲 日本の面影』池田雅之、NHK出版

 八雲の日本での初の著作が明治の日本を海外に紹介している『日本の面影』である。この解説書では、庶民の質素で清廉な生活、神社仏閣、伝承話、盆踊り、庭、自然に宿る神などの記述に聴覚の言語化の特徴があり、根底に日本文化に共鳴する深い思考と敬愛の念があると分析している。八雲は「日本人の精神には素晴らしい平静さが保たれている」と言及しているが、海外から見る視点から日本文化を重層的に顧みる機会としたいものだ。

『対訳ニッポン双書茶の本 The Book of Tea』岡倉天心、IBCパブリッシング

八雲と同時代の天心は伝統日本美術の復興運動を起こしたが、当時西欧化に邁進していた日本では孤立し、ボストン美術館で職を得、NYで日露戦争直後に英語でこの本を出版している。東洋に無理解な西洋に憤り、富と権力を求める争いを嘆き、「おぞましい戦争の栄光が文明国の証なら、われわれは喜んで野蛮人のままでいよう。」武士道が「死の術」として話題となるが、茶道は、「生の術」であるとし、「儚さを夢にみて、美しく、されど、取りとめのないことに時間をゆだねてみよう」とお茶に誘う。茶室(数寄屋)は余計な装飾を排した簡素な小屋であり、静謐な自然との穏やかな調和を重んじた心の平穏に日本の美を見出し紹介している。原文が英語のせいか率直に述べられているところに好感をもった。

                                      

*次回は、宮田晶子さん(政経)の司会で、2月27日(金)冬の54ら読書会を予定しています。