2025/11/28秋の読書会報告

23回秋のオンライン54ら読書会                        2025.11.28

【参加者】

篠原泰司(一文)、福島碧(社学)、山口伸一(理工)、
石河久美子(一文)、沖宏志(理工)、露木肇子(法)、
鈴木伸治(商)、首藤典子(一文)、仁多玲子(商)、
宮田晶子(政経)、前田由紀(一文)   
  (以上11名、発表順、敬称略)

 山本周五郎受賞作で、早大出身の堺雅人主演で最近映画化された作品から始まり、ロスチャイルド家の伝記、司馬遼太郎作品、哲学的陸上アニメ、早大出身三浦しをん作の辞書編纂物語、新技術マインドアップローディング、高市発言で物議となっている安保法制、ユダヤ人の歴史、ノーベル文学賞受賞の韓国作家作品、夏目漱石三作品、大人向けチェコ絵本、「ばけばけ」で話題の小泉八雲と岡倉天心の日本文化論と今回も多彩な本が揃い、興味が尽きない読書の秋にふさわしい一日となった。 

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。 

        
(発表順、文体は常体に統一)

〇篠原泰司(一文)

『平場の月』 朝倉かすみ 光文社文庫

作者は北海道出身の小説家。たまたま埼玉県朝霞市に住む機会があり、この小説を書いた。2019年の山本周五郎賞受賞。17万部以上の売り上げがありベストセラーになった。内容は悲恋のストーリーなのだが、まず、描かれる相続、葬式、法事など年齢を重ねると経験せざるをえない各種の行事の実感あふれるリアルな描写には感心させられた。50過ぎになって地元に帰ってきた二人の主人公の人生経路は普通の人間が経験しえないことなのだが、特に須藤葉子の場合はこれだけで別の小説が書けそうな話なのだが、そういう特別な事柄をも乗り越えて読む者にある種の悔恨の気持ちを共有させてしまう。過ぎ去ってしまった自分の過去への哀惜の念と取り返せない悔恨の情を読者に抱かせてしまう。これがこの小説の眼目なのだと思った。小説の舞台は私が住む朝霞台の周辺であり実名ではあまり出てこないが、居酒屋、花屋、スーパー、コンビニになどが、まさにそのままで出てくる。

映画「平場の月」

封切りの11月14日に鑑賞した。小説を読んだ後で、正直、須藤葉子を映像で表現するのは難しいと思っていた。しかし、映画監督、脚本家のおかげで陳腐で説明不足になりそうな部分は何とか乗り越えられているし、堺雅人や井川遥の演技力と、その演技にかける情熱に感動する部分があった。小説に出てこない人物や設定がある。特に薬師丸ひろ子の唄と塩見三省に注目だ。というわけで、映画の方も小説とは違った味わいの深い良いものになっていると思った。なお、原作に出てくる朝霞台中央総合病院はTМGという近代的な病院になっているので、ロケ地も朝霞台南口ではなく、北朝霞駅周辺になっている。ロケ地は90%が朝霞。残りが志木市と狭山市だろう。近いうちにもう一度鑑賞しに行く予定だ。

〇福島碧(社学)

『赤い楯ロスチャイルドの謎(I~4)』広瀬隆、集英社文庫今年の6月、家族で南仏のロスチャイルド邸を訪れることになり、その前にロスチャイルド家を知ろうと、読み始めた。この本を読むと、世界は、このようにできているのか・・
目からウロコというか、考え方が180°変わり、例えば海外のニュースの見方が変わる。
著者の広瀬隆氏は、早稲田大学卒の先輩である。

『花神(上中下)』司馬遼太郎、新潮文庫

寡黙にして判断に狂いはない・・司馬遼太郎氏は、こういった主人公・軍神・大村益次郎が好きなんだろうな、と思う。同じく氏の著書『鬼謀の人』、『王城の護衛者』は、この『花神』を書く前の下書きの短編かと思われる。『鬼謀の人』には、シーボルトの娘イネは、まだ出てこない。 8月54ら会で松山へ行った折り、少し足を伸ばして益次郎のいた宇和島城まで行った。宇和島の天守閣からは、益次郎が軍艦を設計して建造し、浮かべたという港がよく見えて、感激した。

〇山口伸一(理工)

映画『ひゃくえむ。』魚豊原作

今年、「国宝」よりも強く推すのがアニメ『ひゃくえむ。』。「ち。」の作者、魚豊氏が21歳で描いた漫画が原作。100m走に人生を賭ける男たちを描きながら、問うのはただ一つ、「なぜ走るのか」。家族や恋愛、記録といった周辺要素を潔く削ぎ落とし、走る行為を掘り下げてゆく。主人公を取り巻くライバルたちの哲学的な台詞が要所を締め、とりわけ「現実を真正面で捉えないと現実逃避は出来ない」は、自己欺瞞を断つ至言として胸に残った。

〇石河久美子(一文)

『舟を編む』三浦しをん、光文社文庫

10年ほど前に本屋大賞を取ったベストセラー小説。最近この原作を土台にした令和版「舟を編む」がNHKドラマになり、それが大変面白かったので、改めて原作を読むことにした。コミュニケーション能力に乏しいオタクの青年が、辞書を作ることに魅せられ10数年かけて辞書を完成させていく過程が、自身の成長とともに描かれる。軽いタッチの文体ではあるが、想像を絶するような労力と根気、言葉への感性が必要とされる辞書作りの背景、そのような作業を経て編纂される辞書の凄さが伝わってくる。普段何気なく使っている言葉について、改めて考えさせられる書。

ドラマ版「舟を編む」NHK

ドラマでは、ファッション誌の担当だった言葉に無頓着な若い女性が主人公。最初はいやいやだが、辞書を作る過程で言葉の大切さに気付き、辞書作りに夢中になっていく。デジタル化が進む中、紙の辞書を作る意義は何か。言葉は定義の仕方によっては、偏見を助長するリスクもある、時代によって言葉の定義は変わっていく、言葉は使い方によって人を傷つけることもあるが、癒す力もあるといったことが、具体的なエピソードを通して示される。言葉にまつわる示唆に富んだ内容のドラマ。NHKオンデマンドで視聴可能。

〇沖宏志(理工)

『意識はどこからやってくるのか』信原幸弘、渡辺正峰、ハヤカワ新書マインドアップローディングという新技術でバイオ的身体を仮想空間にアップロードして永遠に生きるということを現実化したいということに本気で取り組んでいる渡辺正峰さんという神経学者が実におもしろい。意識の問題を考えるとき、今のところ哲学は圧倒的に科学より先行しているとか。

〇露木肇子(法)

『検証安保法制10年目の真実 「仙台高裁判決」の読み方』長谷部恭男、棚橋桂介、豊秀一、朝日新書

 2014年7月、集団的自衛権を認める閣議決定が出て、これを違憲として全国で25件の訴訟が起こされた。2023年12月5日、仙台高裁が初めて憲法判断をした。結果は合憲判決だったが、小林久起裁判長は、早大の長谷部恭男教授の30分以上の証人尋問を経てこの結論に至った。

 裁判長は翌年4月20日致死性不整脈で急逝した。この裁判長は司法研修所同期の友人だった。彼の長谷部教授への問いかけからは、彼の真意が伝わってきて、これが単なる合憲判決ではないことが明らかとなってくる。

 この判決には、司法が示す「存立危機事態」とは何かが明記されているが、当事者双方から上告されることなく確定し、憲法判例100選に選ばれるに至っている。

『ユダヤ人の歴史古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』鶴見太郎、
中公新書 

本著はユダヤ人3000年の歴史を新書1冊に詰め込んだ、深く重たい本である。
紀元前にはダビデやソロモンによる栄華を極めた王国もあったようだが、キリスト教が趨勢となる中、ユダヤ人は五大陸を流浪し、壮絶な迫害を受けながらも建国に至り、さらに拡大を謀る。なぜそこまで嫌われるのか、なぜここまで虐殺できるのか、なぜ性差別の慣習の中でギンズバーグのような革新的な女性裁判官が生まれたのか、数々の謎を解き明かしてくれる「目から鱗」本だ。

〇鈴木伸治(商)

『菜食主義者 新しい韓国の文学01』ハン・ガン(韓江)、きむふな訳、クオン(2011)
2024年のノーベル文学賞を受賞した韓国の作家ハン・ガンが、韓国で最も権威のある文学賞「文学賞」とアジア初のイギリスのマン・ブッカー国際賞を受賞した作品である。これまでいわゆる純文学は、ノルウェー・ブック・クラブが2002年に選定した
「The top 100 books of all time」https://www.theguardian.com/world/2002/may/08/books.booksnews

から概ね時代順に読んできており、近年、女性作家の『高慢と偏見』(ジェーン・オースティン)、『嵐が丘』(エミリ・ブロンテ)、『ミドルマーチ』(ジョージ・エリオット)は恋愛や女性の生き方など興味深く読むことができたのだが、『ダロウェイ夫人』(ヴァージニア・ウルフ)は女性の日常と戦争後遺症のある帰還兵の自殺で内容的に理解し難く戸惑うことに。
これは、女性作家の作品をほとんど読んでこなかったためかと思い、まずは近年話題になった年齢的にも近い女性作家の作品を探していたところ、たまたま本屋で見かけたことから購入した。
一読してその内容は「極端・過激・奇抜」であり、かつて観た韓国映画「オールド・ボ―イ」に近い印象で、最初に読む本としてはお勧めできない。続いて読んだ『すべての、白いものたちの』をまずは読むことをお勧めしたい。その上で本書を読むと戸惑いが軽減されて読めるのではないかと。

『すべての、白いものたちの』ハン・ガン、斎藤真理子訳、河出文庫(2023年)

平野啓一郎が解説しているように「小説というより連作散文詩といった趣」が強く、私は詩人でもあるハン・ガンの詩集として読み進めた。内容は、表題のとおり白いものたちを題材に、自己と母、早世した姉、ソウルと執筆中に滞在したワルシャワでの出来事について、女性独自の視点で鋭敏な感受性で感じたままを繊細に掬い取って表現したものになっているように感じた。

〇首藤典子(一文)

『こころ』夏目漱石、新潮文庫

何気無く手に取った三冊が、いずれも男女の三角関係を綴った作品であったことに驚く。『こころ』では、主人公の書生が先生と慕う人物の遺書と思われる長い手紙を受け取り、読み終わるやいなや、危篤状態の父親を親族に託し、先生の元に急ぎ汽車に乗るといったドラマ仕立て。先生と縁談があった女性に親友から好意があると告げられ、その告白後に女性の母親と縁談を決めてしまった先生。それを知った親友は頸動脈を切り自殺する。女性はその事情を知らないまま、結婚生活は続いていくも、先生はその悔恨から逃れることが出来ず、苦しい胸の内を吐露した文を書き綴り書生に送り、自殺すると告げる。汽車に乗った書生は、果たして先生の最後に間に合うのだろうか。


『それから』夏目漱石、新潮文庫

親の支援を受け、働かずに進められる縁談をのらりくらりとやり過ごしながら暮らしている主人公。結婚した友人が失職し、生活費を借りに来たその細君を不憫に思い頻繁に会うようになる。会うにつれて親友の彼女に対する愛情が欠けていると思うようになり、代わって自分がその細君の面倒をみると親友に告げる。面子を潰された友人は、主人公の父親にその顛末を手紙で伝えたことから、怒った父親が支援を打ち切り、兄弟からも絶縁され、主人公は全てを失うという話。


『門』夏目漱石、新潮文庫

親友の妻と駆け落ちをしたという過ちが、元夫の前途を傷つけたことに自分達も痛く応えており、人目を避けてひっそり暮らしている。文中では、「一生を暗く彩った関係は二人の影を薄くして、幽霊のような思いを抱かしめた。」とある。ある日、借家の大家の弟が蒙古で牧畜をしたり、冒険者のような暮らしをしていて、その弟に同行している者が妻の元夫と知る。大家の家に滞在するので一緒に食事でもと誘いを受け、会えるはずもない相手に鉢合わせすることに怯え始める。どうにかしてこの状況から逃れでたいと、しばらく座禅を組んで頭を休めようと鎌倉の禅寺へ向かう。その不在の間に蒙古へ帰って行った大家の弟と元夫。「彼の頭を掠めんとした雨雲は、辛うじて、頭に触れずに過ぎたらしかった。けれども、これに似た不安はこれから先何度でも、色々な程度において、繰り返さなければ済まないような虫の知らせがどこかにあった。」と今後を暗示する文が文豪漱石所以の表現だろうか。

〇仁多玲子(商)

毎回、オンラインで実施される読書会。オンラインで実施するから、今のメンバーが集まるのではないでしょうか。いろいろな地域の方が参加されています。それが、今の読書会の特徴になっていると思います。私も、夜、対面で実施されるのなら、多分参加しないと思います。オンラインだからこそ、家でパソコンを開いて、ゆっくり、皆さんの本の紹介を聞いています。それが、一つの楽しみになっています。これからも、ずっとこの会が存続することを願います。幹事の方、よろしくお願いします。

〇宮田晶子(政経)

『三つの金の鍵魔法のプラハ』ピーター・シス、柴田元幸訳、BL出版

作者のピーター・シスはチェコ生まれで、ロス五輪に関連する仕事で渡米。しかしロス五輪への東欧諸国のボイコットで帰国命令が出され、それに反発してアメリカに留まった。アメリカで結婚して生まれた子どものために、故郷のプラハを伝えるためにこの本を制作した。気球に運ばれて生まれ育った街に戻った「ぼく」は、生まれ育った家に入るために三つの金の鍵を探さなければならない。黒猫に導かれて街を彷徨い、さまざまな場所で鍵と巻紙を受け取る。巻紙には、プラハにまつわる3つの伝説が書かれており「ぼく」は鍵を手に入れて無事に家に入ることができた。ピーター・シスの絵は幻想的で、魔法の街と言われるプラハの雰囲気を暗めのタッチで表現する。3つの伝説も興味深い。プラハを訪ねてみたくなる。

『ピーター・シスの闇と夢』ピーター・シス、柴田元幸、赤塚若樹ほか、国書刊行会

数年前にピーター・シスの「ピーター・シスの闇と夢」という展覧会が日本で開催され、それをきっかけに制作された本のようだ。ピーター・シスのイラストや絵本原画が解説とともに紹介されている。シスの幻想的な絵がたくさん見られるのも楽しいが、翻訳者の柴田さんとの対談も面白かった。シスの背景にある、抑圧された東欧での生活があったからこその自由を守ることのメッセージなど興味深かった。

〇前田由紀(一文)

NHK100分で名著」ブックス 小泉八雲 日本の面影』池田雅之、NHK出版

 八雲の日本での初の著作が明治の日本を海外に紹介している『日本の面影』である。この解説書では、庶民の質素で清廉な生活、神社仏閣、伝承話、盆踊り、庭、自然に宿る神などの記述に聴覚の言語化の特徴があり、根底に日本文化に共鳴する深い思考と敬愛の念があると分析している。八雲は「日本人の精神には素晴らしい平静さが保たれている」と言及しているが、海外から見る視点から日本文化を重層的に顧みる機会としたいものだ。

『対訳ニッポン双書茶の本 The Book of Tea』岡倉天心、IBCパブリッシング

八雲と同時代の天心は伝統日本美術の復興運動を起こしたが、当時西欧化に邁進していた日本では孤立し、ボストン美術館で職を得、NYで日露戦争直後に英語でこの本を出版している。東洋に無理解な西洋に憤り、富と権力を求める争いを嘆き、「おぞましい戦争の栄光が文明国の証なら、われわれは喜んで野蛮人のままでいよう。」武士道が「死の術」として話題となるが、茶道は、「生の術」であるとし、「儚さを夢にみて、美しく、されど、取りとめのないことに時間をゆだねてみよう」とお茶に誘う。茶室(数寄屋)は余計な装飾を排した簡素な小屋であり、静謐な自然との穏やかな調和を重んじた心の平穏に日本の美を見出し紹介している。原文が英語のせいか率直に述べられているところに好感をもった。

                                      

*次回は、宮田晶子さん(政経)の司会で、2月27日(金)冬の54ら読書会を予定しています。

2025/12/27第6回ビール会報告

第6回ビール会(街歩き付)の報告

2025年12月27日(土)の年の暮れ、築地の「すしざんまい 奥の院」にて、「ビール会(街歩き付)」を開催いたしました。2026年の初競りで一番まぐろを史上最高値の5億円超で競り落したのは「すしざんまい」でした。いつもはビール会はクラフトビール優先ですが、築地という空間が会場を「すしざんまい」に導きました。

今回の街歩きのテーマ:年の暮れは、パワースポットめぐり

築地市場駅で集合し、 日本三大料亭の新喜楽を眺めながら、築地場外市場の外をめぐり、築地波除神社、築地の古い街並み、カトリック築地教会、聖ルカ礼拝堂、築地本願寺と教会・神社仏閣を贅沢に巡りました。

途中、サプライズ企画で第1回目のテーマの赤穂義士繋がりの浅野家の上屋敷跡も訪ねました。

築地場外は、中国からの観光客が制限されているのにも関わらず、大賑わいでした。

聖ルカ礼拝堂は、偶然にも訪れた日の夜のテレビ「新美の巨人たち」で放送されるというお知らせがあり、帰ってからテレビで復習ができました。

聖ルカ礼拝堂があったお陰で周辺は戦災にあっていないので、歴史的建造物やガス灯などの遺構をはじめ古い街並みが残っています。

街歩きの後は、本番のビール会です。
会場は、「すしざんまい 奥の院」。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまいます。
いつもの様に話が尽きません。
毎回、次回はいつにしよう、どこで何飲もうか、とついつい次回の楽しみに向かってしまいます。

さて、次回は2月20日(金)、池袋を予定しています。
テーマは、「重要文化財でビールを楽しもう」です。
どうぞお楽しみに!

文責 益田 聡(理工)
参加者(50音順、敬称略)
遠藤、系野、向坂、小林、今野、鈴木、田角、種村、平野、福島、益田聡、益田あけみ

2025/10/19稲門祭報告

早稲田の杜に集まれ稲門祭 ~散じて集まる稲門の絆~

10月19日(日)に開催された稲門祭に、54らの仲間も集まり54ら亭の運営・屋外企画への参加「TKB54らダンサーズによる演舞」で2025稲門祭を盛り上げました。

当日は今にも雨が降りそうな曇り空の下、54らの仲間が25余名集まり54ら亭を開設しました。これまでの運営実績を評価されてか?大隈公銅像背面の好位置(三方よし)にラグビー部OBと併設でブースを設営。売り子の巧妙なPRも手伝い、用意した特製どら焼き180セットは完売。利き酒を片手に懐かしい仲間の方々が語らう賑やかな場を校友に提供することができました。

猛練習を重ねてきた本番に強いTKB54らダンサーズも、黄色い声の応援団の熱い声援を受けて54らソング合わせた演舞を披露しフィナーレは「生涯青春!」で締めくくりました。 (文責  日比野)

2025/11/1~2 ゴルフを楽しもう会報告

54ら会ゴルフを楽しもう会 紅葉合宿の報告

2025111日(土)~2日(日)、恒例となりました「54ら会ゴルフを楽しもう会・紅葉合宿」を、きぬがわ高原カントリークラブにて開催しました。  
天候にも恵まれ、紅葉に彩られた高原で、爽やかで気持ちの良いラウンドを楽しむことができました。
紅葉シーズン真っ盛りの三連休とあって、行きも帰りも交通機関は混雑していましたが、私たちは東武特急を利用し、渋滞知らずの快適な旅。行きも帰りもビール片手に談笑しながら、ゆったりとした時間を過ごしました。

今回は神戸からも2名の仲間が参加。
アラ古希を迎えてなお、元気いっぱいの2ラウンドを見事に完走しました。  
夜はコテージで鍋を囲みながら、美味しいお酒と楽しい語らいに花が咲き、ますます親睦を深めることができました。
「紅葉合宿はこれからも毎年続けよう!」と皆で誓い合い、目標は「エイジシュート」。  
そのためにも、健康に気をつけ、これからも長くゴルフを楽しもうとエールを交換しました。  
この仲間とともに、これからも末永くフェアウェイを歩き続けたいものです。
まだ参加を迷っている54らゴルファーの皆さん、だまされたと思って一度参加してみてください。きっと、この楽しさにやみつきになるはずです。

次回の「新春初打ちゴルフ」は2026119日(月)、中山カントリークラブで開催予定です。   
初参加の方、大歓迎です。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
             文責 益田 聡(理工)

【参加者(五十音順・敬称略】  
遠藤辰也、大和田秀二、岸本忠生、系野 力、佐々木 徹、平野 伸一、益田 聡、横田 敬介

2025/10/05第5回ビール会報告

第5回ビール会(街歩き付)の報告

今回は記念すべき5回目です。
2025年10月5日(日)、
日本橋小伝馬町の「オル ナ カビーナ」にて、「ビール会(街歩き付)」を開催しました。

今回の街歩きのテーマ:日本橋その2「蔦屋重三郎」に思いをはせて・・・
馬喰横山駅で集合し、大河ドラマゆかりのスポット 
通油町GALLERY、耕書堂跡などを巡り、十思スクエア、
大伝馬町・小伝馬町の街並みを散策しました。

蔦重が吉原から新しい本屋の場所を日本一の繁華街、日本橋に求めたのには大きな夢があったのでしょう。
時が流れ、耕書堂跡があるこの辺りは、繊維を中心とした問屋街となっています。
日曜日の問屋街は人の気配が少なくて、まるで日曜日の学校のような静けさでした。
大河ドラマゆかりのスポットだけあって、我われの様に街歩きをしているグループとたくさん出会いました。


街歩きの後、主目的のビール会です。
会場は、「オル ナ カビーナ」。
L型に道路に面していて、ガラス窓が全開で、とても気持ち良い風に包まれています。


ハウスビールのノルウェービールが10種類、
日本各地のゲストビールが10種類とたくさんのビールを味わうことができます。
ビールをとても丁寧に注いでくれます。器具の手入れもきっと丁寧に行われているのでしょう。大事に扱われたビールはとても美味しい。
料理も美味しく、話が弾みます。
話の内容が高尚なメンバーと私の様にただの吞兵衛との会話が不思議と解け合います。

あまりにも楽しいので、話題が次回はいつにしよう、どこにしようと心がついつい次回の楽しみに向かってしまいます。さて、次回もまた新たな東京の魅力を発見する楽しいビール会になることでしょう。

次回は12月27日(土)、クリスマスも過ぎて、年の暮れに、ちょっと一杯どう?
どうぞお楽しみに!
                  文責 益田 聡(理工)
参加者(50音順、敬称略)
遠藤夫妻、奥田、向坂、今野、篠原、種村、益田聡、益田あけみ

2025/09/25第17回ボウリングの集い報告

 9月25日(木)高田馬場グランドボウル(ビッグボックス8F)
にて第17回ボウリングの集いが6名の参加で実施されました。
優勝はハンディに恵まれた岡野が快走しました。
2ゲーム目に秋田さんがスペアの連続で猛追いたしましたが、僅かに
及ばず準優勝。
実力者の藤原さんはターキー・ダブルを出しますが、スプリット、10ピンミスが出て3位。
前田さんはピンの手前で左右にワープし、ミラクルを演出。
パワフル大和田さんは1投目に股関節を痛め、豪快なストライクを出すものの、スペアが取れず。
今野さんは力んでしまい左に引っ掛けスコアにならず撃沈。
ペア戦は個人戦1位・2位の秋田・岡野組が圧勝しました。
 熱戦の後、定番の石庫問で表彰式を行ないました。
今回は深い話題で盛り上がり、更なる親交を深めました。
次回は1月を予定しておりま皆様のご参加をお待ちしております。

参加者:秋田美津子、大和田秀二、今野玲子、
      藤原雅博、前田育子、岡野勝

2025/08/30〜31 54らIN松山報告

024年秋の54らIN大阪に続き、2025年8月最後の週末に、第2回日本全国54らの旅が松山にて開催されました。

まず初日8月30日のイベントは、坊ちゃんスタジアム開場25周年を記念して行われる全早慶戦の応援。県庁前のホテルに集合した54ら16名(東京から13名、神戸から2名、地元松山から1名)が球場に向かいました。15時からのセレモニーでは、エール交換や大会実行委員長の中村時広愛媛県知事(慶應OB)のあいさつなどに続き、両校監督への花束贈呈は、今回の催しにコーディネーターとして関わって下さっている愛媛稲門会幹事長の大森豊さんが務められました。 16時に試合開始。現役選手も含めた全早稲田チームは5回までに4点を奪取、先発の高橋投手が好投して5回まで無失点といい感じで試合が進んだのですが、リリーフ陣が粘れず6回以降毎回失点で引き分けに終わるという、少々歯がゆい結果となりました。(なお、前日に名古屋で行われた全早慶戦も引き分けとのこと、ある意味平和な結果だったのかもしれないです)

試合終了後、夜は松山在住でコーディネーターを務めてくださった藤本富通さんの案内で、割烹むつのでの夕食。瀬戸内海の海の幸を中心に美味しいお料理を堪能しました。

翌31日はゴルフ組と松山観光組に分かれ、それぞれ松山の一日を楽しみました。観光組の私は、坂の上の雲ミュージアムや松山城、道後温泉など、初松山を堪能しました。お昼にいただいた宇和島名物の鯛めしも美味しかったです。ゴルフ組では大森さんが79という素晴らしいスコアで優勝されたそうです。

そして夜は松山市西部の三津にある檸檬楼にて、ここから参加の東京組2名も加わり、いよいよ54ら会IN松山! 三津は古くから漁業と商業で栄えた地区だそうですが、会場の檸檬楼は古民家を改造したという昔の遊郭を思わせるような洒落た建物。様々な、食べきれないほどの美味しいお料理に舌鼓を打ち、お酒を酌み交わし、歓談し、楽しく充実したひと時を過ごしました。そして最後はもちろん「都の西北」を皆で歌って締めくくりました。

翌朝、解散となりましたが、さらにしまなみ海道を目指す人、万博に向かう人、俳都松山をもう少し堪能する人、前乗りで宇和島まで行った人など、54らの皆さんはとてもパワフルですね。

日本全国54らの旅は今後も続きます。来年4月には長崎で行う予定ですので、どうぞ皆様、ご参加ください。

(宮田晶子 記)

参加者:岡野勝 小山田薫 岸本忠生 大森豊(松山稲門会) 小林章子 今野玲子 櫻井直子 首藤典子 戸叶哲 中村敏昭 番平均 日比野悦久 平野伸一 福島みどり 藤本富通 益田聡 益田あけみ 宮田晶子 横田敬介

松山コーディネーター:大森豊 藤本富通

担当:櫻井直子

2025/08/22夏の読書会報告

第22回 54らオンライン読書会(夏の読書会)報告
日時:8月22日(金)19時半~21時
参加者:10名
  篠原(一文)、沖(理工)、石河(一文)、首藤(一文)
  山口(理工)、露木(法)、仁多(商)
  斎藤(社学)、前田(一文)、宮田(政経)
  以上10名 敬称略

 今回は、英国のダガー賞受賞が話題となった『パパガヤの夜』から始まり、世界的に注目を集めているエマニュエル・トッドの『西洋の敗北』、しまなみ海道への旅を控えている方からは『村上海賊の娘』、現在放映中の朝ドラ『あんぱん』にちなんだ本など、今回もバラエティに富んだ本が紹介された。映画では、いま話題の『国宝』、そして前回の『教皇選挙』つながりでフランシスコ前教皇に関連した映画2本が取り上げられた。今年は戦後80年に当たるが、それに関わる本が紹介されたのも興味深かった。

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

(発表順、文体は常体に統一)

〇篠原泰司(一文)

『パパヤガの夜』王谷昌 、河出文庫

前半部のバイオレンスアクション(けんか)の圧倒的な迫力と後半部の逃避行の辿った広大な時空の広がりのコントラストが心に残る小説だ。読者を強く引き込むストーリー展開の途中に、次元が変わってしまうような不思議な部分が現れて、まるで魔術をかけらたような気分になる。「パパヤガ」というのはスラブ神話の魔女の名前らしいが、この小説自体がそもそも魔術を土台において書かれたのもかもしれない。思えば謎に満ちた主人公(新道依子)の出生、つまり彼女の両親はパパヤガなのかもしれない。そう考えれば大いに合点が行く。ぜひ映画なりドラマに仕立ててほしい作品だ。

映画『国宝』 李相日監督

2025年8月26日現在、実写映画(アニメではなく)の興行記録を塗り替えそうな勢いである。ほぼ3時間の長編なので様々な要素が詰まっているが、私は事前に九鬼周造の「いきの構造」を読んで、それを基にした視点を用意して鑑賞した。視点の中心はまさに主人公2人、喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)の渾身の演技である。

九鬼周造曰く、「運命によって「諦め」を得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」である」。(P107)九鬼の言う「媚態」と「意気地」、そして「諦め」が映画の中で現れる場面があって、充分に納得した。とても面白く楽しめた映画だった。

『西洋の敗北』エマニュエル・トッド、文藝春秋

西洋(アメリカ)に繁栄をもたらしたプロテスタンティズムはもはや破綻し、アメリカは国家ゼロのニヒリズム状態にある。ウクライナ侵攻も、ロシアよりもアメリカのせいで、その背景には西洋の敗北がある…というのがエマニュエル・トッドの意見。

個人的には、その意見には反対だが、その分析には見るべきものがある。

(個人的には、ロシアの一歩進んだ暴力性“道徳〈宗教〉ゼロ状態”のほうがより問題と感じる)

〇石河久美子(一文)

『チア男子』朝井リョウ、集英社文庫

早稲田大学の男子チアリーディング部ショッカーズに着想を得た青春スポーツ小説。実際にショッカーズのパフォーマンスを観る機会があり、迫力のあるアクロバティックな演技と、さく裂する笑顔と若さに感銘を受け、この本も読んでみることにした。それぞれ家族との関係に悩んでいたり、コンプレックスや葛藤を抱えた部員たちがチアを通して、自分たちの課題に取り組み成長していく姿がいきいきと描かれる。チアリーディングのルールや、技のイラスト付き解説もあり、実際のパフォーマンスを観てから読むとさらにチアリーディングへの興味が湧く。

映画『ローマ法王になる日まで』ダニエル・ルケッテイー監督(イタリア)

ロックスター教皇とまで言われ絶大な人気を誇ったフランシスコ教皇の伝記映画。アルゼンチンの軍事独裁政権下の神父や活動家へのすさまじい迫害が主に描かれる。軍に対して草の根的活動を行う神父たちを擁護する立場にあったフランシスコであるが、結果的に多くの仲間が殺害され自分だけが生き残ったことに苦悩する日々が続く。後年の教皇としての穏やかな佇まいの背景に想像を絶するアルゼンチンの軍事政権時代の経験があり、そのことが教皇としての平和への精力的な活動の原動力であったことがよく伝わってくる。

映画『アルゼンチン1985-歴史を変えた裁判』サンテイアゴ・ミトレ監督(アルゼンチン)

ゴールデングローブ賞、外国語映画賞受賞作品。民事政権移行後のアルゼンチンで、軍事政権の首謀者を裁判にかける事実に基づいたリーガルサスペンス。この裁判に挑む検事が若者とチームを組み、アルゼンチン全土の拷問の生存者と行方不明者の家族の証言を地道に集めていく。裁判で首謀者の責任を追及し、終身刑に追い込もうとする検事の論告は見ごたえがある。重い内容の映画であるが、家族とのやりとりなどユーモラスな部分もある佳作。アマゾンプライムで視聴可能。

〇首藤典子(一文)

村上海賊の娘』(上下)和田竜、新潮社 

7~8年程前に読み、いまなお店頭に並ぶ話題作、この度旅行でしまなみ海道を渡ろうと思い、いま一度読んでみようと思った。

 急流の瀨に囲まれている海城を構えた能島村上の長の娘、景。男武将以上の働き、剣捌き、海に潜り仕掛けられた網を切り離したり、次から次へと機転を効かしたりして動き回る姿は手下達の憧れであり、また戦意を高める存在であった。ただ、なりふり構わない為、嫁ぎ先が決まらないのがたまにきず。

ある時、急流で動きがとれなくなった一向宗の信徒が乗り合わせた船を海賊働きで乗っ取った景は、信徒が載せていた兵糧を運ぶという名目で大阪本願寺に続く川の砦に兵糧と信徒を送り届ける。そして、辺りを縄張りとする真鍋海賊と遭遇し、「べっぴんさん」などと言われたことがない褒め言葉に気をよくし、真鍋の城に立ち寄る。これを機に大阪本願寺、信長が西に勢力を拡大することを押さえたい為本願寺に兵糧を届ける毛利方と、海の戦支度が整っていない織田信長に加勢する大阪泉州侍との戦に関わる。どの国と国が戦になるかを知り、無益な争いに関わらないようにする判断をいつ下すか、国の存亡は長の手の中にある。今日の味方は明日の敵、一瞬の判断で戦の行方が入れ替わる。最終刊ではそんな戦闘の真っ只中に読者を誘いもはやそのシーンの中で私も息を飲んでいた。戦に明け暮れていた戦闘時代、瀬戸内海で一睡を風靡していた村上一族も徳川の世になると呆気なく滅ぼされてしまったということである。

〇山口伸一(理工)

『ナイルパーチの女子会』柚月麻子、文春文庫

 一流商社勤務の美貌の栄利子は、人間関係が苦手でデジタルな距離を好む。憧れのブロガーと親しくなろうと試みるも失敗し、職場の派遣社員からは思いもよらぬ脅迫を受けて追い詰められていく。高校生が選ぶ賞の受賞作とは思えぬほど、題名に似合わぬおどろおどろしい物語であった。

〇露木肇子(法)

『神の棘 Ⅰ Ⅱ』須賀しのぶ 新潮文庫

1936年から1950年までのドイツを舞台に、修道士マティアスと、ナチス親衛隊のアルベルトの人生を軸として、史実を基に狂気の時代を克明に描いた小説。ナチスの宗教弾圧・障害者差別・ユダヤ人迫害、連合軍の捕虜虐待、宗教の腐敗等ありとあらゆる悪が詰まっている。正義は常に逆転し、信頼は裏切られる。残酷なシーンが多く読み続けるのがつらいほどだが、最後にすべての謎が解き明かされ、大きな感動が待っている。

 2010年の単行本を全面改訂した2015年の文庫本がおすすめ。

『革命前夜』須賀しのぶ 文春文庫

1989年、ピアノを学ぶ眞山柊史は音楽の都ドレスデンに留学し、ハンガリー、北朝鮮、ベトナム等からの留学生と共にピアニストを目指す。時はベルリンの壁崩壊直前、学生達は息のつまる監視社会の中、シュタージに脅えながら、自由と音楽を求めて活動していく。友情、恋愛、裏切り等に遭いながら、眞山は自分の音を追求する。音楽の高まりと共に自由を求める声も高まっていく。そしてついに壁は崩壊し、歓喜があふれる。読んでいる間音楽が聞こえてくるような美しい小説。冷戦下の芸術という点で映画「善き人のためのソナタ」を彷彿とさせる。

〇仁多玲子(商)

『十二の真珠』やなせたかし、復刊ドットコム

今回の読書会で紹介する本は、今、NHKの朝ドラで話題になっている「あんぱん」というドラマの主人公のモデルになった「やなせたかし」が書いた『十二の真珠』という本。本というよりは絵本。本の印刷でも、「ふしぎな絵本」と書かれている。これは、やなせたかしの初期の作品集。また、元祖「アンパンマン」を収録した本でもあると、宣伝している。
さて、どういう本かと言えば、短い短編が12個集められている。
一番初めの短編、「バラの花とジョー」。これは、美しいバラの花と、雑種犬のジョーの愛の物語。最後は、ジョーがバラをカラスから守るために盲目になり、その後死んでしまうのだが、それに合わせてバラの花も、大気汚染で、枯れてしまう。涙を誘うお話だ。そういう短編が12集入っている。私は、こういう本が好きだ。
 これからも、皆さんと一味違う本を紹介していきたいと思う。

〇前田由紀(一文)

『へいわとせんそう』たにかわしゅんたろう・著、Noritake・絵、ブロンズ新社

戦後80年の夏に戦争に関する本を数冊読んでみた。最初に紹介するのは。谷川俊太郎の絵本。シンプルに平和と戦争の対照的な場面が続くが、最後には、敵と味方で変わらない場面が3場面連続して出てくる。この「変わらない」ことで、平和を切望する筆者の深い思いがひしひしと伝わってきた。

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子、新潮社(新潮文庫)

では、日本はなぜ戦争を始めてしまったのか。日清戦争から振り返る。筆者は、中高生を対象に講義形式の序論で戦争の定義をジャン=ジャック・ルソーの言葉を引用して「敵対する国家の、憲法に対する攻撃」と語る。それから日清戦争から太平洋戦争へと時系列に多岐にわたる資料をもとに辿っていく。講義では、その都度筆者が問いを投げ掛けて、それに答える生徒たちの発言も興味深い。日清戦争から線として太平洋戦争につながっていき、いろいろな要因が重なって戦争へと突き進んでいく過程がわかり、どこかで立ち止まれる局面があったのではないかと思わされた。

『昭和16年夏の敗戦 新版』猪瀬直樹、中央公論新社(中公文庫)

5年前に出版社の企画で勤務校の中高生と一緒に読んだ本である。偶然にも今年NHKでドラマ化され、当時のことを思い出した。まず、開戦直前の総力戦研究所の史実であり臨場感あふれる描写に引き込まれた。日本史の教科書や資料集と突き合わせて、読み進めた生徒もいた。悪役とされた東条首相の葛藤にも注目が集まった。数字や空気の怖さ、コロナの現状と重ね合わせ、危機的状況での冷静かつ客観的な思考、判断、行動の大切さを痛感させられた。5年前の夏、生徒たちと一緒に戦争開戦の内実を知ることができ感慨深い本となった。

〇宮田晶子(政経)

『考える練習』保坂和志、大和書房

作家の保坂和志氏が大和書房の担当編集者の質問に答えながら、「考える」ということは何か、について語っていく。

「思考法」の本はたくさん出回っていて、多くはビジネスマン向けのものが多いのだけれど、これはまったく趣が異なる。私たちは考えることによって、物事を理解し、何らかの解答や解決策を見つけようとする。しかし、保坂さんは、わからないものはわからないままでもっておく、理解しようとしない、そういう姿勢が考え続けるという行為であると言う。編集者のやり取りは、政治、経済、小説など、さまざまなテーマに及ぶが、保坂さんのそれぞれの答えがこれを実践している。

コスパやタイパ、あらゆることに効率を求めがちな風潮で、私自身もそれに染まってしまっているが、考えるということの本質を考えさせられた。かなり急いで読んでしまったのだが、考え続けながらもう一度読んでみたい。

福島からいつも参加されている斎藤さんからいただいた、読書会への感想です。

〇斎藤悟(社学)

いつも参加させて頂き有難うございます。

毎日介護の事で精一杯で読書の時間ないなか、レベルが高く内容が深い話を聴かせて頂き、話にも参加させて頂き感謝して居ります。発表の後パネルディスカッションのような流れになるのはさらにいいですが、気になる話も聴き逃す事もあり、その後の纏めも有難いです。

とにかく企画がいいです。読んだ本の内容を説明する→自然にパネルディスカッション→後評→発表内容を纏めて公表。

そして発表なしでも参加させて頂ける。

読書の時間が無い私には勉強になり、参加者と会い話も出来る。

皆様悩みもおありでしょうが、読書をしたり旅行に行ったり、羨ましく眺めています

*次回は、前田由紀さん(一文)の司会で、11月28日(金)秋の54ら読書会を予定しています。

2025/06/23ボウリングの集い報告

 6月23日(月)14時よりビッグボックス8Fの高田馬場
グランドボウルにて第16回ボウリングの集いが男子3名、
女子3名の計6名で個人戦とペア戦が開催されました。


 優勝は華麗なフォームでスペアをマークしていった秋田
さんがゲットしました。ガーター、ミスの最悪スタートだった
前田さんが二ゲーム目に入ると右に左に曲げながらも
ミラクルカバーでストライク・スぺアを連発し、2位に食い込み
ました。出だしダブルとスタートダッシュを決めた高橋さん
でしたが後が続かずブービーに沈みました。表彰式を
終えた後、石庫門でビールと餃子で楽しく歓談しました。
優勝者のコメントでは人の数ほど愉快なドラマが生まれます
との事で皆様のご参加をお待ちしております。
 次回は9月を予定しております。

参加者:秋田、本多、前田、高橋、藤原、岡野 6名

                      担当:岡野勝
  

2025/05/23春の読書会報告

第21回春のオンライン54ら読書会                 2025.5.23

【参加者】

篠原泰司(一文)、石河久美子(一文)、沖宏志(理工)、首藤典子(一文)、山口伸一(理工)、露木肇子(法)、鈴木伸治(商)、宮田晶子(政経)、斎藤悟(社学)、前田由紀(一文)

(以上10名、敬称略)

 今回は、土の壮大な歴史から始まり、偶然にも参加者3名が最新の直木賞作家の伊予原新さんの作品が重なり、科学的な知識がちりばめられた文学作品の魅力が共有できた。広島の沖さんからは、広島の公共図書館による読書会リストの案内があり、読書会の文化が根付いていることを知りえた。教皇選挙の映画もタイムリーな上映で皆の関心を集める。他に、英国の著名な作家の作品、英国でベストセラーとなっている柚月さんの作品、注目を集めるフジテレビ関連作品、早大出身の綿矢さんの新作が紹介された。最後は、紹介作品に出てきた花巻の獅子踊りをきっかけに、福島の斎藤さんからの東北の旅の話題に広がった。

なお、これまでの 読書会報告集Book List、もご覧いただけます。

(発表順、文体は常体に統一)

〇篠原泰司(一文)

『土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る』藤井一至 、ブルーバックス2278、講談社

「土」の生成と増加、蓄積と消滅に関する本。「土」の歴史は微小な生物と鉱物などを含めた物質の広大な循環と代謝の歴史でもある。それは、テクノロジー(科学技術)の一切及ぶことのない世界である。植物のからんだ農業の分野とかなり関わりがあり、フィル―ドワークを主体にした研究でもあるので、まるで文化人類学の本を読んでいるような感覚を絶えず持ちながら読んだ。結論部分にはディストピア的な悲観論は一切ないが、個人的な感想としては人類の未来は明るくないという感想は思い描かざるをえなかった。テクノロジーを超える未来の思想のためにも読むべき一冊だと思う。

『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』

NHKスペシャル取材班、NHK出版新書735

3世紀~5世紀の日本の古代史を今現在の歴史研究の現場に即して探究した本。具体的には纏向遺跡と箸墓古墳、吉野ケ里遺跡などの遺跡の発見と調査の歴史、それに東アジアの古代史の文献の精密な読解が試みられている。NHKのドキュメンタリーの制作陣によって書かれているので内容の深さに比較してかなり分かり易く、信頼性抜群の読み物になっている。卑弥呼や大和朝廷などの日本古代史に興味のある人はぜひ手元に置いておくべき一冊だと思った。

〇石河久美子(一文)

『藍を継ぐ海』伊予原新、新潮社

今期の直木賞受賞作。五つの短編小説からなり、著者の地球惑星科学の研究者としての知識と経歴を生かした作品も多い。長崎の原爆投下直後、原子爆弾の正体を探ろうと被爆した岩石やがれきを集め科学的に検証しようとした地質学者の話が印象に残った。ミステリー仕立てでもあり、様々な情報を集め、それを組み立て考察して結論に導くといった展開がいかにも研究者らしい。全編を通じて普段馴染みのない科学の知識がストーリーに組み込まれており、科学を身近に感じることができる。

映画「教皇選挙」エドワード・ベルガー監督(米英合作2024年)

本年度アカデミー賞、脚色賞受賞作品。カトリック教会の頂点に立つローマ教皇を選ぶコンクラーベをめぐるストーリー。様々な謀略が展開し、投票の過程で有力候補者が刻々と様変わりしていく知的ミステリーエンタテイメント。映像も美しい。上映期間中に実在のローマ教皇が死去、コンクラーベが実施され、フィクションを現実が追う形になり話題となった。新しい教皇はどのような過程を経て選出されたのか、現実と映画をリンクさせて想像するとさらに面白さが増す。

〇沖宏志(理工)

『道元の哲学』小坂国継、ミネルヴァ書房
墓じまいをきっかけに、昔よく読んでいた正法眼蔵解説本を久々に読んでみた。3年前にここで発表した、シェリー・ケイガン本『死とは何か』は死というものを、哲学的に、「私」「同一性」「時間(今)」「神」「意識(言語)」といったものと論理的にからめながら、解き明かしていったが、この本も宗教の書である『正法眼蔵』を哲学的に解き明かしていて、実におもしろい。

*ところで、みなさんの地元で、読書会用の本を提供しているところはあるでしょうか?
また、ある場合、どの程度の本を用意しているのでしょうか?情報があったらください。
広島市の場合は下記の程度の本を用意しています。

https://www.library.city.hiroshima.jp/information/guide/images/index_dokushokai.pdf

参考に広島市の読書会用の本(先のURL)を、うちの読書会(みささ読書会)でどのように読んできたかのデータを下記に示します。(エクセルファイルがダウンロードされます)

https://www.com-net2.city.hiroshima.jp/mitaki/file/48

日付は、その本をいつ、みささ読書会で取り上げたか。Noは読書ノートへのポインタです。今年はみささ読書会の幹事が回ってきたので、過去のデータをちょっとDX化してみました。みささ読書会自体は1973年に設立されたらしいですが、図書館の読書会用の本というシステムが機能し始めたのは1980年代初頭あたりからだと思います。ちなみに、全国図書貸出No1の高知市 オーテピア高知図書館では、下記のような読書会用図書館本(614冊)を用意しているようです。

https://otepia.kochi.jp/library/holding04.html

*ちなみに広島市の読書会用図書館本は274冊。

〇首藤典子(一文)

青ノ果テ ―花巻農芸高校地学部の夏―』伊与原新、新潮社 
 主人公は地元で生まれ育ち、小さい頃から鹿踊りという東北地方で広く行われている舞踊に打ち込んでいて、その鹿踊りを続ける為に高校に進む。彼の近所に住み同じ高校に進んだ美術部の同級生の女子、2年で東京から転校してきた男子と、この3人が地学部に入部することになり話が展開していく。3人は親同士が子供達には明かされていなかった理由で実は繋がっていて、高校の地学部入部で運命とでもいうべき出会いをしたという物語。

この地学部創部の発案者であるひとつ年長の地質学に詳しいリーダーによって、自転車や電車を乗り継ぎ宮沢賢治の地学的世界を巡る旅(夏休みの合同研究)に出ることがこの作品の主軸をなしている。旅の目的は鉱物調査をしたい人、宮沢賢治の童話に出てくる地名は地理的にどの辺りを指すのか、その地点に立ってみたい人、幼い頃からの女友達と転校生の間にある秘密を聞き出したい為についていく人とそれぞれだが、2週間にも渡る旅の最後に台風に遭遇し山で遭難するのではないかという困難な状況の中で、本音を打ち明けることが出来、絆が生まれる。そして、美術部にも所属し、旅には同行しなかった幼なじみの女生徒が、キャンバスに夜になりかけの空の深い青を描こうとしていて、その色を「青の果て」と言ったことがタイトルになっている。

宮沢賢治の詩に「薤露青」という言葉があるが、闇に閉ざされる寸前にだけ見られる空の青を意味するものらしい。その「はかなさ」を表現したかったということであろうか。伊予原氏は「青」「藍」とこの色にまつわるタイトルが付いた作品があるが、その関連性が意図するところが何かは興味深いものがある。

〇山口伸一(理工)

『BUTTER』柚月麻子、新潮社

 保険金殺人容疑の梶井真奈子を取材する記者・町田は、彼女の言葉に影響され、欲望と自由の意味を問い直していく。梶井の「ストッパーを外さなければ幸福は得られない」という思想は現代人への挑発でもある。周囲との関係を壊しながらも町田は自分なりの答えを見出し、老後の孤独も自然と受け入れる平穏を取り戻す。ラストは意外にも清々しく、読後感が心地よい。

〇露木肇子(法)

『老いぼれを燃やせ』マーガレット・アトウッド作 鴻巣友季子訳、早川書房

著者は1939年オタワ生まれ、1985年46才の時に出した予言的ディストピア小説『侍女の物語』が世界的なベストセラーになり一躍有名になった。著者は2019年80歳になって『侍女の物語』の続篇『誓願』を出し、女性の生殖を管理した差別社会の崩壊を描いた。

 本書は著者が70代に発表した9つの短篇集で、その多くは、高齢者が長年の恨み・怒りを、人生の最後になって解決していく物語だ。書名となった作品は、姥捨てを極端にしたもので、暴徒が次々と老人ホームに放火する話だ。老化にめげない老人達のパワーに圧倒される作品集となっている。

〇鈴木伸治(商)

『獨白2011年3月「北の国から」ノーツ』倉本聰、

フラノ・クリエイティブ・シンジケート(2011年10月)

伝説的ドラマ「北の国から」のシナリオ作家倉本聰が、その30周年を記念して最初のシリーズ24話について、富良野塾OBライターへの特別講義として2011年2月末から4月頭にかけて語ったものである。途中で東日本大震災が起こったことで、天災や原発事故とも照らし合わせられている。自身のNHKとの衝突から大河ドラマ(勝海舟)を途中降板して札幌へ逃避行するなどの個人的背景や経験や、その時代の社会的背景から物語の創作について語られている。映像だけでなく、脚本を読みたくなる。

『「北の国から」異聞 黒板五郎 独占インタビュー!』倉本聰、講談社(2018年6月)

同じく倉本聰が語った「北の国から」のサイドストーリー。耄碌しかけた黒板五郎が過去をふり返って真摯に語る「北の国から」の撮影秘話で、殆どが真面目なノンフィクションとのことである。

『定本 北の国から SINCE1981』倉本聰、理論社(2002年8月)

「北の国から」の1981年放送開始から2002年最終回までの全原作シナリオが収録されている。

『メディアの支配者(上・下)』中川一徳、講談社(2005年6月)

フジサンケイグループに突然襲いかかった堀江貴文と、必死に防衛する日枝久。しかし、その日枝自身、かつてクーデターによって鹿内宏明を追放した首謀者であった。昨今のフジテレビをみると「歴史は繰り返す」を実感します。

〇宮田晶子(政経)

『パッキパキ北京』綿矢りさ、集英社

駐在する夫と暮らすため、コロナ禍が抜けきらない北京に赴いた元銀座ホステスの菖蒲さんが北京を味わい尽くす。著者の北京滞在経験がベースにあり、現在の中国(北京)のガイドとしても面白いが、痛快なエンタテインメントならしめているのは主人公菖蒲の強靭なメンタルとバイタリティ。最後に彼女は阿Q正伝の「精神勝利法」に行きつくが、そのとらえ方が面白く、この主人公に精神勝利法をもってきた綿矢りさの作家としてのセンスを感じた。

『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~シナリオ第1集 Kindle版』森下佳子、NHK出版

大河ドラマのシナリオ集。第1回から、大変話題を呼んだ平賀源内の死が描かれた16回までが収められている。大河ドラマに付き物の戦闘シーンはないけれど、本屋同士のビジネスをめぐる戦い、幕府・大奥の権力争い、そして吉原の影の部分にも切り込んでいる今回の大河はとても面白いと思う(ただのイケメンと思っていた横浜流星の演技力にもびっくり)。映像もいいけれど、このシナリオでじっくりセリフを味わいたい。

〇斎藤悟(社学)

 参加させて頂き有難う御座居ました。母の部屋でしたので黙っている積りでしたが、発言を求められ口を開いてしまいました。東北が話題になっていましたので楽しかったです。

獅子踊りは北上から釜石にバイクで行く途中に、遠野の道の駅で偶々見ました。吉里吉里の海は国道45号から綺麗に見えます。吉里吉里駅も吉里吉里小学校もあります。ひょっこりひょうたん島のモデルの島もあります。何れも大槌町。井上ひさしさんの物語の世界、メルヘンです。

過日の故郷の話に続き東北の話か出て驚き楽しい話が出来て感謝して居ります。この会は特別に感じて居りましたが、矢張りです。東北人は、暗くて取っつき難いと東京等で言われますが、傷付き乍ら頑張って居ります。首都圏に長く住んでいた私は、Uターンして来て 故郷の人にそう言い、傷付け落ち込む事しばしばです。暗いのではないのですが、首都圏に慣れるとそう見えるのです。

過日、故郷は遠きにありて思うものとの解釈が変わったと話しました。賢治さんの畑は花巻にあります。井上ひさしさんの吉里吉里共和国、吉里吉里の海も吉里吉里駅も吉里吉里小学校も実在します。吉里吉里の海は45号線から綺麗に見え、三陸イチの美しさではないかと思われます。『青葉繁れる』は何十年も前に読んだ本で内容を詳細に覚えてはいませんが、井上ひさしさんの仙台一高時代の私小説、恋のお相手は宮城第二女子高の生徒、当時の学生生活等が描かれ、兎に角面白かったです。

子供の頃面白くて本気で見ていた TVドラマ「ひょっこりひょうたん島」もひさしさんの原作。その島のモデルになった島が実在すると知ったのは震災後だったと思います。大槌町役場を背にすると近くに見える江ノ島を彷彿させる島です。震災は悲惨でしたが、メルヘンの世界です。是非皆さんでいらして下さい。

仙台育英高校が甲子園で優勝した時、仙台に帰る時に TVで中継された場面は、白河の関を通過する時の新幹線の中、選手達が「白河の関だ」と言っていました。白河の関は仙台育英がある宮城県ではなく手前の福島県です。何故其処で中継なのでしょうか?甲子園大会では何県かや学校は関係なく、優勝旗が白河の関を越える事が東北の長年の悲願だったからです。白河の関は東北の玄関。甲子園大会では東北が一つになるのです。長い間、東北は弱かったからです。私もあの中継の場面で感動し、涙しました。東北人は暗いのではなく 純朴なのです。人を疑う事を知らず、黙っていると他人から嫌われる事も知らないのです。 狭い村社会で限られた人との関係を続け、人に慣れておらずシャイでもあります。話してみるとイメージと異なり、あまりにも純粋で優しく驚き自己嫌悪に陥る事しばしばです。Uターンして来て25年目なのに、未だ馴染めずにいます。

〇前田由紀(一文)

『藍を継ぐ海』伊予原新、新潮社

石河さんが紹介した本と同作品。5つの短編集。表題作は、徳島の孤独な中学生、沙月とウミガメの関係が描かれる。ウミガメは、一回に100個ほど産卵するが、ほとんどが捕食され、わずかに残った子ガメが、黒潮に乗って外洋に出る。そして30年かけてもどってくるという、なんとも壮大な旅である。その他のお話は、山口の萩焼、奈良の山奥のニホンオオカミ、長崎の浦上天主堂、北海道紋別の隕石の話であり、日本各地を科学的に振り返ることができ、贅沢な読書となるだろう。

『その本はまだルリユールされていない』坂本葵、平凡社

司法書士合格を長年目指していた主人公が、断念して学校司書となる。引っ越したアパートの大家が製本家であったことから、その繊細で奥深いルリユール(手仕事の製本)工房の世界に魅せられていく。白紙の原稿を製本依頼する謎の青年、手渡したバッジをした人しか会わない大家の孫娘、本の結婚式を開催する古本カフェの店長など不思議な世界が展開するが、彼女は周りの人々と温かい繋がりを深めてゆく。ルリユールの世界が実に美しい。

                                        映画「ドマーニ! 愛のことづて」パオラ・コルテッレージ監督(イタリア)

戦後間もないローマで、暴力を振るう夫、寝たきりの義父に仕え、仕事の掛け持ちで貧しい家計を支える主婦が、主人公。抑圧に堪え、家庭を切り盛りする女性を演じる監督兼主役のパオラ・コルテッレージの演技が素晴らしい。娘は母親を不甲斐ないと思い、金持ちの恋人を選ぼうとするが、彼女は、娘を救うため予想外の行動に出る。女性参政権により女性が解放される様が描かれるが、現代でも通ずる課題はあると言える。

*次回は、宮田晶子さん(政経)の司会で、8月22日(金)夏の54ら読書会を予定しています。